スタッフに「兼業・副業」について尋ねられた時に気をつけるべきこと
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1, はじめに
近年、政府は兼業や副業を普及する方針をとり、先月も大手航空会社で副業を解禁するというニュースが報じられました。徐々に兼業・副業を容認する流れになる可能性があります。このような状況の中、今後従業員の方からも「兼業・副業をしたい」という申し出があるかもしれません。
2, 兼業・副業させると出てくる問題
皆様の事業所においても従業員の方と雇用契約を結んでいますが、就業時間外のプライベートな時間に何をするかは基本的に自由なので、働くことも自由です。
かといってすべて自由に兼業・副業を認めてしまうと問題が出てくる場合もあります。
大まかなもので言いますと
①労働時間が増えるので休養する時間が少なくなり、肉体疲労や睡眠不足が原因で本業において100%のパフォーマンスが発揮できなくなる
②同業他社に自社の秘密が漏洩してしまう可能性が出てくる
③労働時間通算に関する残業問題
③について解説しますと、原則労働時間が1日8時間を超えた場合、残業代を払わないといけませんが、A社で7時間働いた後にB社で3時間働いた場合はどうなるでしょうか。それぞれの事業所単位でみれば8時間を超えてないので残業代を払う必要はないように見えます。
しかしながら労働法の観点からすると、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とありますので、通算で10時間労働していますから、2時間の残業代を払わないといけなくなってしまいます。
この場合2時間分の残業代を払うのはA社とB社どちらが払うのでしょうか。このような事案について厚生労働省は後に雇用契約したほうが支払う義務があるとしています。
3, 兼業・副業を規制できるのか
上記のような問題が生じる可能性がありますので、ある程度規制を設けたいと思われるのではないでしょうか。
対応方法としては就業規則の「服務規程」や「懲戒規程」に兼業・副業についての項目を設けた上で「許可制」にすると共に、「秘密保持誓約書」もとっておくのが望ましいです。
前述において従業員は働く自由があると言っておきながら、働く自由を規制するのは矛盾があると考えられる部分もありますが、判例においても「労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮した上で会社の承諾にかからしめる旨の規定を就業規則に定めることは不当とはいいがたい」という判断が出ています。
4, 最後に
兼業・副業を規制するには事業所に就業規則があり、かつ、その中に兼業・副業を規制できる文言が記載されていることが前提です。
もし記載されてなければ規制自体が難しくなりますので、記載がない事業所の方は今後従業員の方から兼業・副業の申し出をされる前に整備されることをお勧めいたします。
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