上場株式等の取引で損失が出た場合は 確定申告をしたほうが良いのか
Contents
1, はじめに
「貯蓄から投資へ」のスローガンを聞いたこともあるかと思いますが、このスローガンが掲げられて20年近くなります。ようやく日本の投資している人の割合が4割を超え、ここ数年で急上昇している状況です。
先生の中にはすでに株取引をされている方も多いかと思いますが、今回は「上場株式の譲渡損失がでた場合に確定申告を行ったほうが良いか」ご紹介致します。
2, 確定申告をしたほうがいいのか
基本的に特定口座で源泉徴収口座を選択した場合、源泉所得税が差し引かれる為、確定申告は必要ないのですが、申告を行ったほうがいいケースがあります。
申告を行ったほうがいいケースとは下記の2ケースです。
1) 複数の証券会社で株取引を行い、どれか1つの口座で損失がある場合
このケースでは上場株式の譲渡所得が損益通算できるため、譲渡益がでている口座で天引きされている所得税の一部が還付になる場合があります。
2) 年間を通して株取引で譲渡損益がマイナスになった場合
青色申告や法人税の繰越欠損金と同じように、株の譲渡でも損失の場合は、一定の手続きを行うことで3年間損失が繰越できます。その手続きとは、株の譲渡所得を確定申告することです。ただし、譲渡損失を繰り越す場合は、たとえ上場株式等の譲渡がなかった年でも、続けて確定申告をしなければなりません。
以上のことから、上場株式等の譲渡損失がでた場合は手間ではありますが、確定申告をした方が節税になる場合が多いです。
3, 配当所得について
株の売買は行っていないが、配当所得は毎年ある方もいらっしゃるかと思います。配当所得のみの場合には、上場株式等の配当金は金額にかかわらず申告不要となります。
しかし、前段のように譲渡損失がある場合は申告をしたほうが有利になります。
また、配当所得は譲渡所得と違い総合課税と分離課税を選択できます。総合課税と分離課税の違いは税率です。個人の所得が多い場合は分離課税の方が有利になります。
4, 最後に
今回、株の譲渡、配当所得についてご説明いたしました。ご自身が確定申告を行ったほうが有利かどうかの判断材料にしていただければ幸いです。
反対に株の譲渡所得(売買)で20万以上収益がでた場合は必ず申告が必要になります。
また、株の配当所得は入金の際に源泉所得税が天引きされるため、原則的には申告不要ですが、総合課税と分離課税どちらが有利か気になる方は一度お尋ねされてはどうでしょうか。
その他にも、5年間で1年毎に投資元本が120万まで非課税になる「NISA」や、1年毎の非課税額は40万と少ないが20年間と期間が長い「つみたてNISA」などもあります。まだ株取引をされたことがない方もNISAから始めてみてはいかがでしょうか。
その他不明事項やご質問などありましたら、ご連絡くださいませ。
- 病院・クリニックの方へ
- 歯科の方へ
- 新規開業をお考えの方へ
- 医療法人設立をお考えへ
- 事業承継・相続・売却をお考えの方へ
グループのサービスご紹介