福利厚生費の注意点とは?
Contents
1, はじめに
日頃頑張ってくれている従業員の労を労うために給与ではなく、福利厚生費として支出する事は日常的にあることだと思います。福利厚生費は給与にならず、非課税だという事はよくご存知だとは思いますが、対象者や支給する内容に注意をしないと給与として課税されてしまうリスクがあることをご存知の方は意外と多くありません。
2, 福利厚生費とは
「給料や賞与以外に会社が従業員のために支出する費用のこと」を福利厚生費といいます。
従業員の生活の安定・向上を目的に、住宅や飲食など様々な意味での支給にかかる費用です。
雇用されて働く従業員のための費用ですので、雇用する側の経営者や個人事業主、またその家族の為に支出する費用は福利厚生費とはなりません。
福利厚生費が経費になる条件
● 従業員の為の福利厚生目的であること
● 役員を含めた全従業員を対象としていること
● 常識的な範囲の金額であること
● 支給内容が現金・商品券ではないこと
これらの条件を満たしておかないと、給与等として課税される事になります。
限られた従業員だけが対象のものは給与と認定される可能性が高くなります。
3, 実務でよく出てくる福利厚生費の要件と事例
社員旅行が福利厚生費となる要件
● 全ての従業員を対象としており、かつ従業員の50%以上が参加していること
● 4泊5日以内の旅行であること
● 不参加の従業員に対して現金支給がない
これらを満たしていれば福利厚生費で問題ありません。
諸事情により不参加となった方に対して現金支給をされた場合は現金を渡した従業員のみならず、社員旅行に参加した従業員に対しても会社負担の旅行費用が給与となってしまうのでご注意下さい。
従業員への食事支給が福利厚生費となる要件
社員食堂、仕出し弁当などで食事が現物で提供される場合
● 従業員が食事代金の半額以上を負担していること
● 企業側が一人あたり月額3,500円(税抜)以下であること
● 残業や深夜勤務従業員に対する食事の現物支給
これらの場合でも食事手当として現金で支給される場合は給与扱いとなります。
ただし深夜勤務者に夜食の支給ができない為1食あたり300円(税抜)以下の金額を支給する場合は福利厚生費として取り扱います。
従業員との飲食代が福利厚生費となる要件
● 全従業員参加の権利があり、かつ全従業員の50%以上が参加している
● 会社の費用負担が一律
● 会社が負担する金額が社会通念上一般的な額
従業員との食事はよくあるケースだと思いますが、上記のような基準の他に開催頻度や特定の従業員が対象かどうかも判断の基準となります。高額なレストランでのごく一部の従業員との会食などは給与、もしくは従業員であっても社内交際費となる場合もありますので注意が必要です。
4, 最後に
福利厚生費の要件には「社会通念上」や「一般的」、「あまりに高額でない」などはっきりしない言葉がよく出てきます。通勤費のように明確に非課税の枠が決まっていればいいのですが、そうではないために実務でも非常に悩む場面がよくあります。
ただし、全従業員が対象で金銭負担も一律、現金の支給でなければ、ほとんどのケースが福利厚生費に該当しますので、悩んだ時はその点をチェックすればよいかと思います。福利厚生に関する支出のルールをクリニックで決めておくのも一つの手です。
福利厚生費は上手に使えば従業員のモチベーションの維持やコミュニケーションを深める事に有効ですし、従業員は給与課税もされずクリニックの経費になります。今回紹介した内容を参考にご検討下さい。
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