医療法人の事業報告書など、届出事務・閲覧事務のデジタル化で変わること
1.はじめに
現在、医療法人は健全な運営を確保するため、毎会計年度終了後3月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監査報告書及び関係事業者との取引の状況に関する報告書等を都道府県知事に届出なければなりません。
また、運営状況の透明性を確保するため届出のあった事業報告書等について請求があった場合には、閲覧できるようにしなければなりません。
2.現行の課題
上記においての課題は、
① 事業報告書等は紙媒体により都道府県に届出られ、閲覧も都道府県の窓口等において紙媒体により行われており、医療法人・都道府県の双方に事務負担が生じている。
② 各都道府県に届出られた事業報告書等について一覧的に把握できる仕組みがなく、国・都道府県において医療法人の経営実態を把握しにくい状況にある
ということが示されています。
そのため「骨太の方針2021」等の政府方針等においてデジタル化の観点及び運営のさらなる透明化の観点から
① 事業報告書等の届出についてアップロードによる届出・電子的な閲覧を可能とすること
② 届出データが集積されたデータベースを構築すること
③ 届出内容を公表する全国的な電子開示システムを構築すること等
が求められています。
① が実現することで、②のデータべースの構築が可能となります。
①に関して届出事務や閲覧のデジタル化は省令改正等により対応が可能で、届出事務は令和4年度から、閲覧事務は令和5年度から都道府県のホームページ等での閲覧できるよう省令改正等行いたいとされています。
タイムスケジュールは下記の通りです。
出典:令和3年11月2日 第82回社会保障審議会医療部会資料
当面、従来どおり紙媒体による届出も可能としつつ、届け出られた紙媒体は国が電子化を行い、都道府県に電子データを提供します。これにより全国医療法人の事業報告書等の情報を全て電子化された状態で国に蓄積し、全国規模のデータベースを構築し活用される予定です。電子化した事業報告書等のデータは都道府県のホームページ等で閲覧可能となります。
3.最後に
デジタル化とデータベースの構築により、医療法人及び都道府県等に係る事務負担の軽減を図るとともに、国や都道府県において経営実態を把握し、より適切な支援や指導への活用が可能となります。
地域医療連携推進法人においても同様の対応になります。
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