4月から、中小企業でもパワハラ防止措置が義務化されます
1.はじめに
2019年5月、職場におけるいじめや嫌がらせを防止するため、「パワハラ防止法」が成立し2020年6月に施行されています。また、2022年4月には中小企業も対象になります。
2.「中小企業」の定義とは?
中小企業かどうかは、業種によって資本金や職員数で区分されています。
ここではサービス業について見ていきます。
サービス業(サービス業、医療・福祉等)
・資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の法人
又は
・常時使用する職員の数が100人以下の法人及び個人
パワハラ防止法に違反した際の罰則は設けられていないのですが、指導・勧告・企業名公表の対象となってしまう為注意が必要です。
3.職場におけるパワーハラスメントとは?
パワハラの定義
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
①「優越的な関係を背景とした」言動とは?
・職務上の地位が上位の者による言動
・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の
協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは?
・業務上明らかに必要性のない言動
・業務の目的を大きく逸脱した言動
・業務を遂行するための手段として不適当な言動
・当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
③「就業環境が害される」とは?
当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいいます。
この判断に当たっては、個人の受け取り方にも差異がある為「社会一般の労働者がどう感じるか」を基準とすることが適当です。
なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与える言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。
パワハラと認定される具体的な行為の類型
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
3.人間関係の切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(明らかに遂行不可能な業務の強制)
5.過小な要求(能力や経験と見合わない仕事を命じることや、仕事を与えないこと)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
以上の類型について、これに該当しないからパワハラでは無いということにはなりませんので注意が必要です。
4.事業主に求められる対応について
ハラスメントを防止するために、事業主は以下1~4の措置を講じる事が義務付けられています。
1.事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
3.職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
4.1~3までの措置と合わせて、相談者・行為者等のプライバシーを保護すること、その旨を労働者に対して周知すること、パワハラの相談を理由とする不利益取扱いの禁止
以上のように、パワハラに対する社内方針の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、被害者への迅速な対応や再発防止について、適切な措置を取ることが求められています。
5.最後に
まずは就業規則を整備し、職員に対してパワハラ対策を講じていることを知ってもらうことが重要です。予め対策を講じていれば、問題が起こった時に慌てることなく迅速かつ適切な対処をすることができます。
今回の改正に伴う対応や就業規則改定など、弊社では労務関連の様々な課題解決をサポートしておりますので、お気軽にご相談頂ければ幸いです。
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