居住用賃貸建物にかかる消費税はメリットなし!?
1.はじめに
今回のテーマは医療に無関係な情報となりますが、将来的に不動産業を考えていらっしゃる先生、ご家族や知人様が不動産賃貸業を営まれている方にはぜひ把握して頂きたい内容になっておりますのでご紹介したいと思います。
ちなみに、今回の内容は令和2年度の税制改正の内容になります。改正後の2年前はホットな話題として取り上げられることが多かったのですが、年数の経過やインボイス制度についてなど最新の話題にかき消され、忘れそうになっている改正ではないのかなと思います。とくに普段影響がない話題や情報は税制改正問わず、記憶から消えていくことは多いですよね。
ということで、今回は「居住用賃貸建物にかかる消費税の制限」をテーマお伝えしたいと思います。ぜひ頭の片隅にでも置いていただければ幸いです。
2.居住用賃貸建物にかかる消費税の制限
ここからが本題です。
そもそも居住用賃貸建物とは?
居住用賃貸建物とは下記のことを指します。
① 住宅貸付用の建物
②税抜価額が一取引単位につき1,000万以上のもの又は自ら建設等をした資産で建設等に要した価額が1,000万円以上のもの
上記の建物に該当した場合、たとえ消費税を払ったとしても、消費税申告では、その消費税を計算に含めず申告することになります。
言い換えれば、上記の建物にかかる消費税を払っていても、事業の売上でもらった消費税と相殺できなくなるということになります。
これまで、控除できていた消費税が控除できなくなりますので、納税負担がこれまでより増えてくるということです。
居住用賃貸建物に該当しない建物
建物の構造・設備の状況等により、住宅の貸付用と客観的に明らかなものをいいます。
例をあげると下記のようなものになります。
①建物すべてが事業用施設である建物。
②旅館、ホテル等旅館業法に規定する旅館業にかかる施設の貸付である建物。
③棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付用にしないことが明らかな建物。
適用開始事業年度
令和2年10月1日以降より取得される居住用賃貸建物について適用されています。
ただし、経過措置として、令和2年3月31日までに請負業者などと締結した契約に基づく、居住用賃貸建物である場合には、改正前どおりに消費税の控除が適用されます。
ですので、売買契約書や建築請負契約書が令和2年3月31日までの日付でご契約されていると、令和4年に建設が完了した場合でも消費税は控除できるということになります。
3.影響を受けるのは?
消費税課税事業者の中でも原則課税で申告されている事業者様が影響してきます。
免税事業者はこの改正には無関係ですが、これまで消費税還付を目的にわざと消費税事業者を選択し、還付を受けたことのある事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
4.最後に
「じゃあ、1階が居住用で2階~5階が事業用だとどうなるの?」
「建物の用途が未定の場合は?」
「居住用で貸付したけど、途中で事業に用に変更したいのですが…」
という質問が今後多く飛び交うことが予測されます。
大丈夫です。
上記のようなことは消費税法という法律で、きちんと整理されています。複雑な事例やよくわからないことが起きた時は担当税理士に相談しましょう!税制改正後はとくに私達もいつも以上に時間をかけて勉強します。また例外などになれば高度な税務知識が必要になります。それもクライアント様からのお話がなければ、一生その例外に携わることはないでしょう。
クライアント様にアドバイス提供するだけでなく、一緒に成長できるパートナーとなれば幸いです。
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