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2023/02/27

【令和5年度税制改正】相続・生前贈与に大きな改正が!詳しく解説します

1.はじめに

昨年12月末に税制改正大綱が発表され、令和5年度の税制改正について情報が明らかとなりました。所得税ではNISAの恒久化や高所得への所得税負担の見直しが、法人税では設備投資税制に規制が入りコインランドリーや少額リースを利用した節税対策が一部封じられることとなりました。消費税についてはインボイス制度について細かな調整が予定されています。中でもインパクトのある改正は資産税で、生前贈与について大きな改正となっております。今回は生前贈与の改正点について取り上げたいと思います。


2.生前贈与加算の期間延長(増税)

昨年の税制改正では一旦見送られることとなった生前贈与の改正ですが、この度令和5年税制改正により生前贈与の加算期間が3年から7年に延長されることが正式に発表されました。

生前贈与加算とは?

生前贈与加算とは、暦年贈与により生前贈与を行っている場合において、相続発生時に相続開始前3年以内に行った生前贈与をなかったものとみなして、相続財産に足し戻し相続税を計算する制度です。

相続税も贈与税も最高税率はともに55%ですが、各々累進税率となっています。例えば相続財産が莫大で相続税率が最大55%になることがほぼ確定している場合、直系尊属からの贈与であれば年間4,500万円までは10%~50%の税率となるため暦年贈与を積み重ねることが節税となります。
これを無制限に認めてしまうと生前対策を行うことができる納税者とそうでない納税者との間に不公平が生じますので、相続開始の3年前までの贈与については相続時に相続財産に加算するとなっています。つまり暦年贈与により対策を打てる期間は従来相続開始の3年前までであり、それが今回の改正により相続開始の7年前までと、より規制が強化されたということになります。

この改正は2024年1月1日以後に行った贈与より順次適用されることとなります(完全に7年加算されるのは2031年1月1日以後発生した相続からとなります)。2023年中に行う贈与については従来の制度が適用されるため、2023年中に贈与の予定がある方は贈与額の引上げ等を検討されてみるのも良いかもしれません。


3.相続時精算課税に110万円の基礎控除創設

贈与には暦年贈与とは区別して相続時精算課税という制度があります。相続時精算課税は暦年贈与との選択制となっており、相続時精算課税を選択すると特別控除額2,500万円までは一旦贈与税がかからなくなります。しかし、その後相続発生時にその贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算し精算をします。

現在、相続時精算課税制度には暦年贈与のような基礎控除額がありません。これが2023年1月1日以後に行う相続時精算課税からは暦年贈与と同様に基礎控除額110万円が創設されます。これにより相続時精算課税はより使い勝手が向上します。また、暦年贈与の生前贈与加算は基礎控除110万円についてもなかったものとして足し戻しが行われますが、相続時精算課税の基礎控除は足し戻し対象外となります。
相続発生前7年間に限定すれば確実に相続時精算課税が有利となりますが、相続の発生は予見できるものではないため、今までにも増して早期の対策が必要となります。暦年贈与を実行されている方、今後の利用方法をお悩みの方はお早めに税務担当者にご相談下さい。



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