法人の寄付金の取り扱いについて解説します
1.はじめに
個人ではふるさと納税などでお馴染みですが、法人の寄付金についての取り扱いについて紹介いたします。
2.寄付金の種類
法人が行う寄付には大きく分けて4つあります。その種類によって経費になる金額が変わってきます。
①国または地方公共団体に対する寄付金
こちらは国や都道府県及び市町村などに対する寄付金です。こちらは全額損金に算入されます。
例)公立高校や公立図書館など
②指定寄付金
指定寄付金は公益法人等が行う広く一般に募集する寄付金で公益の増進に寄与し緊急を要する特定の事業に充てられるものです。
こちらも全額損金に算入されます。
例)財務大臣が指定する寄付金※国立大学法人の教育研究費等、赤い羽根の募金など
③特定公益増進法人等に対する寄付金
特定公益増進法人に対する寄附金、特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭及び認定NPO法人等に対する寄附金のうち一定の要件を満たすもの
損金算入額は以下の式を元に限度額が決ります。
(資本金及び資本準備金の額の0.375%+所得金額の 6.25%)×1/2
例)日本赤十字社、学校法人、社会福祉法人など
また、②や③の対象となる寄付先については各都道府県のHPに記載がありますので、一度ご確認やお尋ねいただければ幸いです。
④一般の寄付
一般の寄付は上記以外の寄付金です。
損金算入額は以下の式を元に限度額が決ります。
(資本金及び資本準備金の額の0.25%+所得金額の2.5%)×1/4
例)宗教法人、町内会など
上記の種類によって全額損金になるものから限度額が決まっているものもあります。利益がでているからとむやみに寄付をすると損益決算書上では利益が少なくなりますが、実際に税金を計算する際には損金と認められてないものもあるため、納付する税金が思っているより高くなる場合もあります。
3.寄付金の注意点
上記内容によって経理処理をしても損金とならない場合もあります。
例えば理事長の趣味で野球を行っており、医療法人から野球部に寄付をした場合です。
この場合は医療法人と何らかの関係性があるか、第3者からみても妥当性(広告性がある等)を検討する必要があります。特に関係性や妥当性がない場合は実質的には医療法人が理事長に変わって寄付を行ったと見られてしまい、理事長に対する役員給与と認定される恐れがあります。役員給与と認定されると法人税法上一定の要件に該当しない場合は損金に算入されないため経費となりません。また、役員給与になるため源泉所得税も徴収されます。
4.終わりに
上記のようにならないために事前に専門家へ相談をしていただければ幸いです。
また今回の内容は法人での処理になりますので、個人のクリニックなどとは経理処理の方法が違いますのでご注意ください。
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