【インボイス制度】適格請求書の保存が不要なケースを解説!
Contents
1.はじめに
10月1日よりインボイス制度がはじまり2ヶ月が経ちました。思った以上に複雑な制度で、経理業務をご担当されている方々におかれましても色々な場面で判断に苦労することが多かったのではないでしょうか。
そこで今回は、適格請求書がなくても消費税がいままでどおり控除できる、そんなケースをまとめてご紹介します。これで皆さまの事務負担が少しでも解消できたら幸いです!
2.帳簿のみの保存でOKなケースとは?
支払った経費にかかっている消費税を控除するためには、原則的には適格請求書の保存が必要なのはご存知のとおりです。ただし、下記9つのケースでは請求書が不要となり、一定事項を記載した帳簿のみの保存でOKだと認められています。
請求書が不要で一定事項を記載した帳簿のみでOKのケース
① 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている入場券等が使用の際回収される取引(①に該当するものを除く)
③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入
④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の取得
⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入
⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当
するものに限る)の購入
⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機から
の商品の購入等
⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス
(郵便ポストに差し出されたものに限る)
⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び
通勤手当)
すべての支払った経費について請求書がないと消費税の控除が認められない…というわけではなく、条件を満たせば帳簿のみの保存でも大丈夫だということになります。
※ただし、帳簿の記載事項に関して、次の事項の記載が追加で必要となりますのでお気をつけください。
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
例 ①に該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」
例 ②に該当する場合、「入場券等」
仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)
例 ⑦に該当する場合、「〇〇市 自販機」、「××銀行□□支店ATM」
詳しい帳簿記載事項については、国税庁Q&Aをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/110.pdf
3.1万円未満の少額特例とは?
さらに、一定規模以下の事業者に対しては事務負担の軽減措置(少額特例)が設けられています!基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高5千万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置(少額特例)が設けられています
※ 基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年、法人についてその事業年度の前々事業年度をいいます。
※ 特定期間とは、個人事業者についてはその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人についてはその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。
※帳簿に「少額特例の適用がある旨」を記載する必要はありません。
つまり、事業規模が上記一定以下である場合には、税込1万円未満の経費については適格請求書保存の要件がないということになるので、さらに事務負担が軽減される可能性があるというわけです。
4.まとめ
インボイス制度がはじまり、諸経費が「適格請求書」かどうかを判断する場面が増えたことで事務作業の負担も増えることになりましたが、上記のように「帳簿のみの保存」だけでもOKとなる特例も用意されています。それらを知っていただくことで、日々の作業を効率よく進める一助になればと思います。
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