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2024/07/11

令和6年に入居する場合の住宅ローン控除

1.はじめに

昨今建築価格の高騰によりマイホームの購入価格が年々上昇しています。住宅金融支援機構の調査によると、直近で公開されている令和4年所要資金の平均金額は、マンションで4,848万円(前年比+320万円)、土地付注文住宅で4,694万円(前年比+239万円)となっています。
せめてもの救済措置として、マイホームの取得の際には住宅ローン控除制度がありますので、是非活用を検討したいものです。今回は令和6年度入居の場合の住宅ローン控除について取り上げたいと思います。

 

2.住宅ローン控除の大枠は大きく分けて3パータン

住宅ローン控除制度は租税特別措置法により制定されています。租税特別措置法とは特定の政策を実現するために、期間を限定して適用する特例規定を定める法律なので、その年ごとの経済状況等により内容が変遷します。住宅ローン控除がマイホームの購入時期により年数が違ったり、控除率が違ったりするのはそのためです。

令和6年入居の場合には大きく分けて下記の3パターンで考えます。
① 子育て世代の新築
② 新築
③ 中古

それぞれの特徴、注意する点は次の通りです。

①子育て世代の新築

一番優遇されているのは子育て世代の新築です。具体的には19歳未満の扶養親族を有する者、または年齢40歳未満であって配偶者を有する者、もしくは年齢40歳以上であって40歳未満の配偶者を有する者、が該当します。簡単に言えば、子育て中か、夫か妻のいずれかが40歳未満だと該当します。住宅購入時点ではなく令和6年12月31日の現況で判断しますので、注意が必要です。
取得する住宅区分(環境性能)により借入限度額が設定されています。

・認定住宅       5,000万円 控除期間13年間 控除率0.7%
・ZEH水準省エネ住宅   4,500万円 控除期間13年間 控除率0.7%
・省エネ基準住宅    4,000万円 控除期間13年間 控除率0.7%

控除期間と控除率は一緒ですので、限度額が大きい分控除金額も大きくなります。認定住宅が一番有利になります。認定住宅とは長期優良住宅・低炭素住宅をいいます。

②新築(子育て世代以外の新築、環境性能対象外住宅)

次に子育て世代以外が取得する新築です。
上記と同様に取得する住宅区分により借入限度額が設定されています。

・認定住宅            4,500万円 控除期間13年間 控除率0.7%
・ZEH水準省エネ住宅        3,500万円 控除期間13年間 控除率0.7%
・省エネ基準住宅         3,000万円 控除期間13年間 控除率0.7%
・その他(環境性能対象外)の住宅 2,000万円 控除期間10年 控除率0.7%

子育て世代の取得より限度額が減少しますが、同様に認定住宅が有利となります。
また、新築のうち環境性能対象外の住宅(その他の住宅)にも控除の設定がありますが、「令和5年中に建築確認を受けたもの」との条件がついており、令和6年以降に新たに建築するものは対象外となります。控除期間も10年と短く、子育て世代の優遇もありません。

③中古(既存住宅)

住宅区分は下記の通りです。

・認定住宅等     3,000万円 控除期間10年間 控除率0.7%
・一般住宅      2,000万円 控除期間10年間 控除率0.7%

認定住宅等とは認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、住宅省エネ基準住宅のいずれかに該当するものです。いずれの控除期間も10年と短く、子育て世代の優遇もありません。
中古住宅の場合には耐震基準にも要件があります、耐震基準に該当しない住宅のうち一定の要件を満たすものについては事前に耐震改修を行う旨の申請が必要になります。事前申請なので、住宅ローン控除の適用を検討する場合には必ず事前に工務店、不動産会社、顧問税理士に相談の上、必要な書類を整理しながら手続きを進める必要があります。

 

3.まとめ

中古住宅に限らず、住宅ローン控除には上記以外にも、所得要件、床面積要件、入居要件等、満たすべき要件が多数あります。13年間の税額控除の合計額を考慮すると認定住宅を検討したほうが良いケースも考えられます。
令和6年以降の新築で環境性能を満たさず、令和5年中に建築確認を受けていない住宅は完全に住宅ローン控除対象外となります。
その他、マイホーム買い替え特例との有利判定が必要になるケースもございます。注意点がたくさんありますので、必ず税務担当者にご相談いただくことをお勧めいたします。


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