103万円の壁のその後

1.はじめに
昨年の年末より議論となっておりましたいわゆる「103万円の壁」の問題。当初178万円までの引き上げなど提案がありましたが、その後の控除額についてお伝えいたします。
2.103万円の壁から160万円の壁へ
2024年末の時点では「123万円の壁」など議論されていましたが、年収200万円以下の納税者の税負担の軽減のため、控除額を最大160万円とする「160万円の壁」に引き上げられました。
なおそのしくみは、給与所得控除額が10万円増額され65万円に、また、基礎控除につき特例が創設されたことにより最大95万円となり、その合計額が160万円となりました。また、基礎控除の特例の詳細として、合計所得金額2,350万円以下の方の基礎控除が10万円引き上げられ58万円となり、さらに年収200万円以下の方であればこれに37万円を加えた95万円が基礎控除額(最大)とされました。なお、年収200万円から850万円までの基礎控除の金額は下記のとおりです。
年収 基礎控除
200万円以下 95万円
475万円以下 88万円
665万円以下 68万円
850万円以下 63万円
3.特定親族特別控除の創設
さらに、令和7年からは、大学生の年代の子など「特定親族」を持つ親などについて、「特定親族特別控除」が創設され、子(特定親族)の合計所得金額に応じた控除を受けることができることとされました。なお、特定親族とは生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で合計所得金額が123万円以下である者をいい、その年の12月31日の現況により年齢が19歳以上23歳未満かを判定することとされています。
また、その控除額は子の合計所得金額が58万円以下(年間給与収入123万円以下)であれば63万円が、58万円を超え、123万円以下(年間給与収入188万円以下)であればそれぞれ、控除額が61万円から3万円まで段階的に逓減することとされています(下記の図参照)。
子の合計
所得金額等 控除額
85万円以下 63万円
90万円以下 61万円
95万円以下 51万円
100万円以下 41万円
105万円以下 31万円
110万円以下 21万円
115万円以下 11万円
120万円以下 6万円
123万円以下 3万円
4.最後に
今回は、103万円の壁の見直しについてお伝えいたしました。なお、この見直しにより、税務以外にも、労務における所定労働時間の増加、社会保険加入条件の変更などの見直し、人件費増加による資金繰りなども検討することが必要となってくるものと思われます。
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