最低賃金が引き上げられます
1.はじめに
令和5年度の地域別最低賃金額改定の目安が令和5年7月28日、厚生労働省より発表されました。
引き上げ額の目安
「Aランク」41円
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
「Bランク」40円
北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
「Cランク」39円
青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
今後は、この最低賃金改定の目安を参考にしつつ、各都道府県ごとに審議が行われ、地域別の最低賃金が令和5年10月に決定することとなります。
※適用日は都道府県によって異なります。
仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国平均は1,002円となります。この場合、全国平均の上昇額は41円(昨年度は31円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると4.3%(昨年度は3.3%)となります。
2.最低賃金の確認方法
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
以下、給与形態ごとに最低賃金の確認方法をみていきましょう。
時給
1時間あたりの時間給≧最低賃金額
日給
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額
例 日給8,000円 1日の所定労働時間8時間
8,000円÷8時間=1,000円(時給)
この時給1,000円と、その事業所所在地の都道府県の最低賃金と比較します。
月給
月給÷1ヶ月の平均所定労働時間≧最低賃金額
例 月給16万円 年間所定労働日数240日
1日の所定労働時間8時間
(16万円×12か月)÷(240日×8時間)=1,000円(時給)
この時給1,000円と、その事業所所在地の都道府県の最低賃金と比較します。
出来高払制その他請負制
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額÷当該賃金算定期間における総労働時間≧最低賃金額
3.まとめ
最低賃金の改定により、医院に求められる対応として下記が挙げられます。
従業員の時間あたりの賃金額確認
→最低賃金を下回っている場合は、改正前に上回るよう賃金引き上げ
求人内容の確認
→賃金が最低賃金を下回っている場合は、給与額の見直し、変更
また、最低賃金の引き上げは、医院の採用にも影響を及ぼします。改定時期に差し掛かると思われる10月前後には、多くの医院が一斉に時給を引き上げてくる事が予想されます。
そこで、早い時期に時給を上げて求人を開始することで人材の確保に繋がる可能性があります。
社会保険労務士法人かぜよみでは、給与制度の見直しや、人事評価制度構築、就業規則の制定等、専門知識を持つ社労士がサポートしますので、今回の最低賃金の改定を機にぜひお気軽にご相談ください。
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