キャリアアップ助成金について
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1, はじめに
雇用情勢を測る1つの指標となる有効求人倍率は、令和2年11月時点で1.06と前月をほんの僅か上回りましたが、
新規求人は前年の同じ月より11か月連続で減少しており、データを発表した厚生労働省は「企業からの求人が減少する傾向は変わらない中、新型コロナウイルスの感染が再び拡大しており、先行きは不透明だ」と述べています。
このような新しく人を採用することが難しくなっている状況下において、人手不足を解消するためにすでに働いているパートやアルバイトを正職員に転換するという方法が考えられます。
現在パートやアルバイトとして働いている人であれば、院内業務をそれなりに把握しているので正職員に登用してもミスマッチは起きにくく、優秀なパートやアルバイトを正職員として登用することで、新規で正職員を採用するよりも早い段階で即戦力となり、院内の生産性が上がることが見込まれます。
また、就業経験が乏しい方や(募集職種が)未経験の方など即戦力にはならないが人員不足で、スタッフを雇用する必要がある場合に、最初から正職員で雇用するのではなく、お互いのミスマッチを防ぐためにもまずは契約職員として雇入れを行い(応募者との合意の上での契約が必須です)、正職員に求める基準に達した半年後や1年後に正職員に転換するということも一つの手段として考えられます。
こういったパートやアルバイト等の非正規職員を正職員に転換することで、国から助成金が支給される制度があります。ぜひこの機会に優秀なパートやアルバイト等の非正規職員を正職員登用し、助成金を活用されてみてはいかがでしょうか。
2, 有期雇用から正社員への転換で1人あたり最大72万円が支給!
キャリアアップ助成金・正社員化コースの支給額は次のとおりです。
① 有期雇用→正職員 :57万円(42万7,500円)
② 有期雇用→無期雇用:28万5,000円(21万3,750円)
③ 無期雇用→正職員 :28万5,000円(21万3,750円)
また、所定の基準による生産性の向上が認められれば、
①の場合は72万円(54万円)、②または③の場合は36万円(27万円)が支給されます。
※( )内は大企業の場合の金額
有期雇用とは6か月契約や1年契約など期間の定めのある労働契約で働く方のことをいい、
無期雇用とは契約期間の定めはないが、正職員ではない方のことをいいます。
3, 正社員転換の前にまずは準備が必要
ほとんどの助成金に言えることですが、助成金を受給するには事前の準備が必要となります。
このキャリアアップ助成金・正社員化コースを受給するためにも事前の準備が必要です。
具体的には正職員転換を実施する前に
①キャリアアップ計画書を作成し、都道府県労働局長の確認を受ける
②就業規則等に正職員転換制度を制定する
ことが必要です。
また、正職員に適用する就業規則の整備も併せて行う必要があります。
この事前準備を行わずに正職員転換を実施した場合は助成金の受給ができませんので注意が必要です。
4, 助成金を受給するには労働法の法令遵守も重要
助成金申請の際には正職員に転換する前及び転換後の雇用契約書を提出する必要があります。
また、対象期間(正職員転換前及び転換後各6か月分)のタイムカードや賃金台帳も併せて提出することとなり、
支給申請の審査において
契約書の内容や就業規則の定めの通りになっているか
雇用保険や社会保険が正しく適用されているか
残業代が正しく支給されているか
など、いわゆる「法令を正しく守って運用しているか」が厳しくチェックされます。
つまり、日頃から適切な労務管理を行っていることが助成金受給においてとても重要となるのです。
5, 最後に
もし現段階で労務管理に問題があったとしたら助成金の受給は難しいのではと考えてしまうかもしれませんが、
今から早い段階できちんと整備していけばこれから未来に向かっての助成金の受給は十分可能です。
適切に労務管理を行うことは助成金の受給のためだけではなく、クリニックやスタッフを守ることにも繋がりますので、これを機に見直してみるのもよいのではないでしょうか。
ちなみに、労働関係法令に基づく助成金の申請書の作成および行政機関への提出等は、事業主以外では社会保険労務士にしかできない業務です。
アップパートナーズグループ社労士法人かぜよみでも助成金の代行申請を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
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