ふるさと納税について2
Contents
1, はじめに
クリニック経営ナビでも何度かテーマとして取り上げていますが、実務で確定申告業務に携わっていると、「ふるさと納税制度を利用する人がずいぶん増えてきたな」という印象を持ちます。
今回はふるさと納税の「通常の限度額」と、「実務上の限度額」についてご紹介をしたいと思います。この考え方は意外と知られていませんので、いくら寄付をするかの判断材料としてご参考下さい。
2, 2種類の限度額
通常の限度額
詳細は割愛しますが、ふるさと納税には税額控除の適用を受けることのできる限度額があります。今回はこれを「通常の限度額」と呼ぶことにします。いろんなふるさと納税のサイトで簡単にシミュレーションできますので、利用されたことがある方も多いと思います。税理士事務所のスタッフとしては、さとふるのふるさとの納税詳細シミュレーションが使いやすいです。
ただし、この通常の限度額だけを参考に判断してしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまう場合があります。
※制度の詳細は以前のコラムにありますのでご参考下さい
■ ふるさと納税について
https://www.upp-medical.com/column/1289/
実務上の限度額
ふるさとの納税は多くの自治体が返礼品を準備しています。そしてこの返礼品は経済的利益として一時所得に該当するため所得税が課税されます。
一時所得は50万円以下であれば課税されない仕組みになっています。大まかに言えば、返礼品による経済的利益が50万円以下であれば課税されませんが、50万円を超える部分は課税されます。この一時所得が課税されないラインを「実務上の限度額」と呼ぶことにします。
では、課税されない場合=経済的利益が50万円以内である場合とは、具体的にはどのように判断するのでしょうか?
ふるさと納税の返礼品は総務省により寄付額の3割以下と定められています。これを1つの基準として、100万円を寄付したらその返礼品による経済的利益は30万円、166万円を寄付したら50万円と考えることができます。
この基準でいくと、一時所得が課税されない実務上の限度額は166万円と考えることができます。
(ふるさと納税の中には返礼品がない先や返戻率が3割よりも低い先もありますので、3割を基準とすることが実態と合っていない場合には、実態に沿った適当な基準を税務担当者にご相談下さい。)
3, いくら寄付するかの判断
「通常の限度額」と「実務上の限度額」のいずれか低い金額であれば、ふるさと納税による税負担はなく、税メリットだけです。ほとんどの場合はこれで問題ありません。
ただし、ふるさと納税の返礼品以外に既に一時所得が50万円を超えている場合(例えば生命保険の満期金や解約返戻金を受け取っている場合など)には、ふるさと納税をすれば必ず所得税の負担が生じることになります。他に一時所得がある年度は要注意です。
①通常の限度額を計算する
②実務上の限度額と比較する
③その年度に他の一時所得がないか確認する
最低でもこの3点は寄付前に確認をしておきましょう。
4, 最後に
寄付額が大きい場合、予期していなかった課税関係が生じるケースがございますので、ご注意下さい。
また、好みの問題にもなりますが、課税関係が生じたとしてもふるさと納税をしたほうが有利になるケースもございます。寄付前には税務担当者に事前にご相談することをお勧めします。
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