育児・介護休業法が改正されます!
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1.はじめに
少子化が進行している日本では、育児と仕事の両立を推進していくことを目的として2021年6月3日、改正育児・介護休業法が成立しました。今回の改正は男性が育児休業を取得しやすくなる制度とも言われています。男性の育児休業取得率はわずか7.48%と低い状況が続いており、取得率が上がらない原因として男性が育休を取りづらい職場環境だったり、長期休暇を取る事の難しさや、育休中は収入が減少することなどが挙げられます。このような実態に応える形で、新しい制度及び制度の変更が行われていますのでこれから確認していきましょう。
なお、改正された育児・介護休業法は2022年4月より順次施行されます。
2.「育児・介護休業法 5つの改正ポイント」
(1)出生直後の時期に柔軟に育児休業が取得可能に
子の出生直後、配偶者も育児休業が取得しやすいよう下記制度が創設されます。
・子の出生後8週間以内に4週間まで育児休業が取得可能
・育児休業の申出は、原則休業の2週間前までに(現行法は原則1か月前まで)
・分割して2回まで取得が可能(現行法は原則分割不可)
・労使協定締結により、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能
長期休業が取得しにくかった労働者も、分割取得や休業中の就業が可能になることで、育児休業を取得しやすくなります。
休業中の就業については、労働者側が就業してもよい場合は事業主にその条件を申し出ることが必要とされています。そして事業主側は労働者が申し出た条件の範囲内で就業する候補日・時間を提示し、労働者が同意した範囲で就業することになります。なお、就業できる日数や時間の上限は省令で定められる予定です。
(2)育児休業を分割して取得
現行法において育児休業を分割して取得するは原則できませんが、上記(1)の新制度とは別に分割して2回まで取得可能です。
1歳以降に育休を延長する場合、育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定されていますが、育児開始日は柔軟化(各期間途中でも夫婦交代可能)されます。
(3)個別の周知・育休取得意向の確認が義務化
妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対して、事業主側が育休制度について説明し、取得の意向を個別に確認することが義務化されます。育休取得を妨げる原因の一つに職場環境(言いづらい雰囲気等)が挙げられるため、事業主への義務化はこうした事態を解消する目的もあります。
(4)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件が緩和
有期雇用労働者が育児・介護休業を取得できる要件
【改正前】
① 引き続き雇用された期間が1年以上
② 1歳6ケ月までの間に契約が満了することが明らかでない
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【改正後】
① の要件が撤廃され、②のみとなります。
※労使協定を締結した場合は、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者を対象外とすることが可能です。
(5)育児休業取得状況の公表が義務化
従業数1,000人超の企業は、育児休業等の取得状況を公表することが義務付けられます。
公表内容は男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」
が省令で定められる予定です。
3.最後に
今回の改正では、男性の育休取得を促進するものとなっていますが、性別や雇用形態に関係なく、社会全体として育児と仕事の両立をサポートしていくことが求められています。これまでは育児休業を取得するのは、どちらかというと女性というイメージがありましたが、今後は男性も女性同様に育児休業を取得して、積極的に育児に参加していくことが重視されてきます。
事業主として、就業規則の改定や労使協定の見直しなども必要になってきますので、施行日間際で慌てることがないよう、早めの対応を心掛けましょう。なお、今回の改正に伴う対応や就業規則改定、労使協定の見直しなど、ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
<参考>
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