電子帳簿保存法って何をすればいい?
1.はじめに
最近、電子帳簿保存法(電帳法)という言葉を耳にする機会が増えてきたように思います。
過去に何度か電子帳簿保存法についてご案内させていただいておりますが、自クリニックで取り組みができているか不安な先生方もいらっしゃるのではないでしょうか?本日は電子帳簿保存法について、今一度ご確認いただける機会になればと思います。
2.ポイントを抑えておきましょう
2022年1月1日より改正電子帳簿保存法が施行され、結局どうすればいいの?と思われている方もいらっしゃると思います。ケース別に以下を抑えておきましょう。
①自院で作成したものの管理
自クリニックで作成した請求書、領収書、棚卸表等のデジタルデータの保存について。こちらはパソコンに入っているデータをそのまま保存、クラウド等を利用されている場合も作成したデータをそのまま保存されていれば保存要件を満たすことになりました。
②他社から受け取ったものの管理
他社から受け取った請求書や領収書、オンラインデータ等のデジタルデータの保存について。こちらは以前に比べ単純に大変になったと思われます。他社からデータで受け取ったデジタルデータについては、そのままデータで保存しなければなりません。
例えば、クレジットカードのweb明細の電子保存に加え、明細に記載されている個々の取引についても電子データで請求書や領収書が発行されているならば、電子データとして保存が必要です。
又、紙媒体で受け取ったデータについてはスキャンを行うか、写真として撮影し画像で保存する等、紙から電子データへ変更する作業が必要です。
③①②共通ですべきこと
上記1と2に共通しますが、デジタルデータとして保存されたデータの名前を変更する必要があります。
例えば、医療消耗品を仕入れているA医療販売㈱から紙で請求書が送られてきた場合、その請求書をスキャンしパソコンへ取り込み、仮にPDFファイルとして取り込んだとすると、そのPDFファイルに「20220831 A医療販売㈱ 220000」というふうに日付、取引先、取引額という順番でファイルの名前を変更しなければならなりません。自クリニックで作成したデータについても同様の方法で保存が可能です。
3.デジタル保存時の注意点
デジタルデータの保存を行った場合に気をつけなければならないのが、データの改ざんです。特に自クリニックで作成したものについては、自由に変更ができる為、改ざんされていないことを担保する必要性がでてきます。
解決の方法として国税庁が認めたタイムスタンプをデジタルデータに付与する、又はデジタルデータの修正・削除履歴が残るシステムや、そもそも修正・削除ができないシステムを使用することを求められています。ただし、こちらについてはタイムスタンプ導入の費用やシステムの導入に費用がかかり、それらも安価ではないため、社内規定を作成することで代替が可能です。
4.社内規定とは
タイムスタンプやデジタルデータの保存システムを使わない場合の選択肢として税務署が社内規定についてのサンプルを公開しています。
税務署『電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規定』はこちらから↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
内容は「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規定」というWordファイルで、データ保存したオンライン取引情報を訂正・削除することを原則禁止することや、やむを得ず訂正・削除する場合の業務手順などが規定されています。
タイムスタンプ等が難しい場合にはこちらを活用することで、電子帳簿保存法に対応できるかと思います。
5.最後に
今回は電子帳簿保存法の対応について、ざっくりとですが解説を行いました。あくまで記載させていただいた内容については最低限抑えておくべきポイントして解説しております。この電子帳簿保存法は猶予期間も設けられており、2023年末までに対応が必要です。詳細については顧問税理士の方へご相談ください。
インボイス開始も近づく中、色々な事柄への対応を迫られますが、少しでも皆様への情報提供となれば幸いです。
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