混同していませんか?インボイス制度と電子帳簿保存法
1.はじめに
今回は、支払う経費に関してインボイスと電子帳簿保存法の観点からご説明したいと思います。
インボイス制度の導入と電子帳簿保存の開始は、時期が近いことから混同されることが多いのですが、全く別の制度となっております。
インボイス制度
インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といい、制度がスタートすると「インボイス(=適格請求書)の発行事業者でないと消費税の控除が受けられなくなる」というものです。
▼詳しい記事はこちら
https://www.upp-medical.com/column/clinic-management/7088/
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。
▼詳しい記事はこちら
https://www.upp-medical.com/column/clinic-management/6974/
2.開始時期
開始時期も下記の通り異なっています。
《開始時期》
・インボイス制度は令和5年10月
・電子帳簿保存法は令和6年1月
電子帳簿保存は当初令和4年1月開始でしたが、2年間は強制適用が延長され、現在は移行期間のような取り扱いとなっております。
医院の各制度への取組必要性は以下のようになっております。
3.経費分のインボイスについて
本則課税適用事業者のみ対応が必要なものとなります。原則、消費税が課税されている全ての経費についてインボイス番号の確認が必要となります。特に影響が大きいものの例としては、
・歯科技工所への技工外注費
・業務委託を行っている場合の委託費用
・テナントの支払家賃
等が上げられます。これらは金額が大きく消費税計算への影響が大きいため、事前にインボイス登録をされているか各業者に確認をされることをお勧め致します。
他にも細かいものは、「個人飲食店や個人タクシーを利用した場合等様々なものにインボイス番号が必要となり、番号がない場合は、医院が納税する消費税が増える」と考える必要があります。
3.電子帳簿保存法への対応について
紙でもらった書類をスキャナ等で電子化する必要はありません。紙書類のスキャナ保存は任意となっており、スキャナ保存を実施する場合の要件を満たすことも難しい為、医院で対応しなければならない電子帳簿保存法とは、電子取引データの保存となります。
電子取引データの保存の対象となるものは以下のようなものが挙げられます。
・ETCカードを利用した場合の領収書
・インターネットショッピングを行った場合に紙の領収書が商品に同梱されずメールやECサイトよりダウンロードが必要なもの
・業者よりメール添付にて請求書や領収書が送られているようなもの
(添付がなく、メール本文に詳細が記載されている場合はメール本文のデータ保存が必要)等となります。
尚、クレジットカードの利用明細を電子保存したとしても、この電子データ保存の要件は満たさない為、注意が必要です。
あくまでも、取引ごとに紙の領収書であれば紙保存を、電子データであれば電子データをパソコン内に保存する必要があります。
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