歯科医院の業績改善の原理原則「予約の取り方」
はじめに
「予約」が適正に入っているかどうかをしっかりとチェックすることは、歯科医院長の毎日の業務の中で、大切なポイントです。
効率的に予約が取れているか、治療時間の偏りがないか、治療時間は適切かなど、予約管理にはクリニックの今後の経営へのヒントが凝縮されています。
たとえば、開業した月の新患者数、それ以降の半年間の新患者数の推移、その半年間の月間レセプト数、そして中断率などのデータを算出してみましょう。
中断率はレセプトに対して10%以内に抑えたい数値ですので、重要なチェックポイントです。つまり、患者さんが、どのような治療で何回目の来院で中断になったのかを詳細に調査してみると、次回の予約を取らないまま、患者さんからの連絡待ち状態の方が多数発生するなど、予約の取り方が中断に大きく影響している要因がつかみ取れます。。
それでは、「予約の取り方」についての基本を押さえておきましょう。
1. ユニット毎の予約管理にしよう
多くのクリニックには、ユニット台数とドクターの数に応じて、30分間に患者様何人というアポイントメントの取り方を導入しています。
使いやすいアポイント帳では、ユニット台数と同じタテ列数のものにし、カウンセリングを重視する場合は1列プラスします。
ユニット3台とカウンセリング室ありの場合は、4列が必要になります。
また、予約一枠に2行ほど記入出来るスペースを確保しましょう。
例えば、「AM10:00~」「AM10:30~」のように時間の頭か30分から、30分刻みでユニットを押さえます。
このユニット別アポイントにすると、患者様の待ち時間の短縮やユニット回転率の向上などにつながります。
2. 予約一枠は30分単位
15分刻みで予約を取っている歯科医院を多く見受けますが、予約1枠は30分単位をおすすめします。
15分で終わるような処置や歯周病の処置などでも、前後の準備や片付けで時間は多少かかりますので、余裕を持った予約枠にしましょう。
また、アポイントを調整できる時間を設けることで、待合室の待ち時間が増えるリスクを軽減できます。
3. ドクターの処置時間を把握する
予約管理で、まず、最初にやるべきことは、ドクターの処置内容ごとに必要な処置時間が何分掛かるかを把握することです。
その際、厳密に1分刻みでする必要はなく、15分単位で考えてみましょう。
処置時間が想定できれば、受付スタッフでも、予約1件に対して何分の処置が必要か?を選別することが可能になってきます。
4. ドクターの処置が途切れない予約で生産性をアップ
通常、予約帳に予約を記入するときには、ボールペンや鉛筆を使用しますが、より生産性をアップするために、記入した予約の上に、処置時間はどのくらい掛かるか?を、蛍光ペン(マーカー)などを使って、例えば、15分の処置だと青、30分だと黄色、1時間だと赤などと色分けします。
30分枠の予約でドクター処置時間は15分間ということであれば、15分後に処置を入れることが可能になります。
ドクターの処置か、歯科衛生士の処置なのか、ひと目で分かるような予約帳にしておくことも今後の生産性アップにつながります。
患者4人(1人15分)× 8時間 × 21日(1ヶ月) = 640人
患者1人の診療報酬点数として、初診と再診を合わせた平均で500点とすると、
640人 × 500点 × 12ヶ月(1年分) = 約384万点
年間の歯科医院の収益は、3,840万円ということになります。
さらに、20万円程度の自費診療の患者様が1週間に1人いらっしゃるとすれば、年間約1,000万円が加算されます。
歯科医院の医業収益は、予約収益3,840万円 + 1,000万円 = 4,840万円となります。この数字を実現するためには、他のユニットで勤務医や歯科衛生士をうまく使って、歯科医院の稼働率を上げていく必要があります。
受付が予約の取り方を失敗したり、キャンセルが多くなれば、ユニットが稼働しない時間が増えます。すると、その時間は歯科医や歯科衛生士が働いていない分、診療報酬点数が付かず歯科医院の売上は見込めません。
患者様の予約をどのように取って、キャンセルをさせないかということが大変重要になります。
まとめ
予約は、クリニックの集患と売上を左右する大切なシステムです。
処置時間での色分けなど、ドクターだけでなく、スタッフ全員が予約情報を共有できるようにマネージメントすることで、予約が取れるようになります。
自費のカウンセリングをしよう。
主訴以外で全体の治療を提案しよう。など、生産性を高めるということは、単に予約をいっぱい入れることではありません。
その時間は患者様のために何ができるのか。何を患者様に話すのか。どんな価値を提供するのか?を具体的に予約時点で決めておきましょう。
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