医院の人件費は適正か確かめてみませんか?
Contents
1.労働分配率とは何か
財務分析の生産性指標の1つに、労働分配率があります。労働分配率とは、医院で生産された付加価値のうち、人件費(スタッフの給料など)の割合がどのくらい占めているのかを測るものです。
労働分配率を見ることで人件費が適正かどうかを分析できます。
2.労働分配率の算出方法
労働分配率の算出方法は、次の通りです。
労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100
歯科医院で考えるのであれば、次の通りです。
労働分配率(%)=人件費÷医業総利益(医業収入―変動費)×100
つまり、医療収入から技工代と材料費を引いた金額で人件費を割った数値になります。
(例)
医業収入5,000万、材料費300万、技工費450万、差し引きの粗利が4,250万、人件費が1,500万の場合。
上記計算式に当てはめて計算すると、
(1,500万÷4,250万)×100
=35.3%となります。
3.労働分配率の目安
ここまで、労働分配率の算出方法を紹介しましたが、その割合はどれ位が適正なのでしょうか。この問いに関しては、まず歯科医院が個人事業なのか医療法人なのかによって異なってきます。これは、個人医院の場合、給与にはスタッフの人件費のみですが、医療法人では給与に理事長である院長本人の給与も含まれるからです。
この違いを理解した上で、厚生労働省の医療経済実態調査より、労働分配率を確認してみます。
2017年のデータにはなりますが、個人歯科医院の平均は34.5%、医療法人での平均は59.3%となっています。こうした統計を踏まえて、個人医院での適正な労働分配率は30~40%、医療法人では55%~65%と言われています。
4.労働分配率を改善する方法
先生ご自身の医院で考えてみたときに、労働分配率が高い場合は、次のような改善方法があります。
①1人あたりの生産性(医業収入)を上げる
②医業収入に対するスタッフの数を見直す
③スタッフの給与を見直す
ただし、この②と③はスタッフに影響がある可能性もありますので、注意が必要です。
5.最後に
スタッフ数の見直しは、安易に行うと患者さんへのサービス(質)の低下を招いてしまい患者さんの減少で医業収入も落ちてしまう可能性もあります。経営者としては、人件費は減らさず、今いるメンバーで医業収入を増やす工夫をすることで、労働分配率を適正な範囲になるように努力すべきであると思います。
またこの指標は統計数値であるため、一喜一憂せず、今来院している患者さんにサービスが行き届いているか、という視点は常に心がけておく必要があります。
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