未払残業代を支払った時・受け取った時の税金はどうなる?
1.はじめに
未払残業代の請求権の時効は3年です。
残業代の訴訟については次の流れになることが多いようです。
1.元従業員が勤め先に対し、未払残業代の支払請求訴訟を提起する
2.判決を待たずに和解するケースが多い
3.未払残業代の一部相当と遅延損害金を含めた和解金の支払いで決着する
本日は、未払残業代を支払った時、受け取った時の税金についてお伝えいたします。
2.未払い残業代の処理方法
法人側の処理
給与・遅延損害金、どれでも法人側では当期の損金となります。未払残業代は、過去の労働に基因するものではありますが、支給額の決定が当期であることから、当期に債務が確定しているからです。
従業員側の処理
会社から支払われた金額について所得税の課税対象となります。
(所得区分)
「未払残業代」→「給与所得」
「遅延損害金」→「雑所得」
(精算方法で課税時期が変わります)
「過年分をまとめて一括支給する場合」
→「一時金が支払われた年分の給与」となります
「過去の実労働時間に基づいて過去の給与として支払われる場合」
→「過去の各年分の給与」となります
3.源泉所得税の徴収
「過去の実労働時間に基づいて過去の給与として支払われる場合」には、源泉所得税の徴収も、帰属する年分に遡って源泉徴収税額を計算することとなります。支給漏れのあった月ごとに源泉徴収税額を算出して、追加支給分と年末調整済みの給与を合算した上で、年末調整の再計算を行うことになります。
そして、従業員が確定申告をしていた場合には、修正申告をする必要もでてきます。
4.まとめ
2020年4月より残業代請求の時効が2年から3年に延長されました。給与を支払う法人側のリスクはこれまで以上に高くなっています。残業代請求の訴えが提起され、未払残業代を支払うこととなれば訴えについての対応に時間がかかります。そして、予想外の資金繰りの必要性がでてきます。
このような事にならないよう時間外勤務の管理をきちんと行っていきましょう。
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