クリニックの採用戦略まとめ
Contents
1.はじめに
顧問先様の最近の悩みを聞いていますと、「求人を出しても応募がない」という話をよく耳にします。コロナ禍が過ぎて企業活動が活発になったためか、あらゆる業種で人材不足が起きています。
一昔前の採用活動はハローワークが中心で、いかにその中で選んでもらえるかが対策の中心でした。最近では人材不足に加えて求人の方法も多様化しており、ハローワークのみで必要な人材を確保するのは難しくなっています。
本日は、少しでも応募を増やせるよう、クリニックの採用戦略についてご紹介していきます。
2.無料の採用活動には何がある?
王道のハローワーク
応募数は以前に比べるとかなり少なくなっていますが、何と言ってもコストがかからないのが魅力です。急いで人材を確保したい場合でも、他の方法と組み合わせてハローワークを活用しておいた方がベターです。
Indeed
求人媒体としては抜群の知名度を誇り、たくさんの求職者に利用されています。求人の掲載を行うだけであれば無料でできますので、かかるのは求人情報登録の手間だけです。コストを重視する場合には使わない手はありません。ただし、課金をせずに掲載を続ける場合は、求職者の目に触れにくくなります。課金をすると、求職者が求人を検索した際に上位に表示されやすくなりますので、予算の都合に併せて戦略を練っていきましょう。
ホームページ・SNS
これらは無料で活用することができるツールですが、求職者が求人媒体を介さずにHPやSNSのアカウントにたどり着いてもらうためには、しっかりとした導線設計が必要になります。どちらかと言うと、求人媒体だけでは伝わらない、医院の雰囲気や待遇、福利厚生等を伝えるための補完ツールという意味合いが強いかと思います。
弊社で過去に医療従事者に向けてアンケートを実施したところ、スタッフがクリニックを退職する理由の圧倒的1位は「人間関係」でした。
そのようにして退職した求職者は、新しい職場での人間関係も当然気にしています。ホームページやSNSでは、院長の人柄、スタッフの雰囲気が伝わる写真や動画、インタビューがあると、大きなアドバンテージになります。スタッフに顔出しをお願いするのはハードルが高いかもしれませんが、マスクをした状態の写真でも、あるのとないのでは全く伝わるものが変わってきますので、可能であればお願いしてみることをお勧めします。
また、求職者の多くはスマホで情報収集していますので、視覚的に訴求できる内容が求められます。究極的には、インスタグラムのように写真一枚で雰囲気を伝えられるコンテンツほど効果が高いと考えられます。
3.有料の採用活動には何がある?
採用を急ぐ場合などは、少しでも応募の確率を上げるために、費用を使った採用活動も検討が必要となります。
人材紹介会社
求人情報の掲載に関して費用はかからず、紹介者を採用した場合に、一定の費用がかかるパターンが多いようです。採用しなければコストもかからないということであれば、とりあえず求人情報を掲載し、紹介者があれば面接を行い、その後で「所定の費用を払ってでも採用したいスタッフかどうか」という検討を行えば良いことになります。
人材紹介会社が利益を得るために、一人のスタッフが何度も転職と退職を繰り返すという話を噂レベルでは聞いたことはありますが、そのような会社はごく少数と思われます。念のため紹介会社の口コミなどをチェックし、信頼できる会社であれば、積極的な活用を検討したいところです。
有料の求人サイト・求人誌
掲載時のみ費用がかかるものです。せっかく費用をかけるわけですから、少しでも多くの求職者の目に留まらなければ意味がありません。ネット媒体であれば「●●町 看護師」などで検索をかけて、上位に表示されるサイトを利用すると良いでしょう。採用ターゲットや地域性によっては紙媒体の求人誌も見られているかもしれませんが、最近の求職者の多くはスマホ・パソコンで求人情報を集めているため、求人サイトの方がコスパに優れいていると考えられます。
4.その他のコスト活用法
昇給
求職者が求人内容を検討する際に基準にしているものは「①給与 ②休日 ③勤務時間 ④人間関係」です。給与が多くて困る人はほとんどいませんので、どれだけ求人情報の露出を増やしても、この点でディスアドバンテージがあれば、応募につながりにくくなります。とは言え、求人という目線だけで昇給を行うのは決してコスパに優れている対策ではありませんので、昇給によってどれくらいのコストが増えるか試算し、既存スタッフの満足度の向上や離職率の低下といった効果も含めての検討を行わなければなりません。
勤務時間の短縮
顧問先様で、「雇用契約上や求人情報としては就業時間が9:30~19:00となっているが、実際には18:30には診療が終わって帰っていることが多い」という事例をチラホラと聞いたことがあります。このような事例で、終業時間を18:30に変更した場合、その時間以降の労働は残業となり、コストが上昇することになります。
とは言っても、そもそも18:30以降の労働があまりないのであれば、コスト上昇は限定的となります。所定労働時間を短縮した場合は、残業単価も上昇するため、どの程度のコスト上昇となるのかは試算が必要ですが、お子さんのいる女性スタッフにとって、その時間帯の30分は大きな意味を持つこともあり、採用ターゲットが主婦層である場合などには、決して効果は小さいものではありません。ただし、診療時間短縮によりクリニックの減収が見込まれる場合には、減収分を含むコストに対する効果が悪化しますので、慎重な検討が必要となります。
福利厚生の充実
自院が昇給をしても、他院も昇給を行えば、優位性は損なわれてしまいます。給与は最も大きなファクターですが、福利厚生で差別化を図っているクリニックは多くなく、ここを充実させることで他院の求人と違いが生まれます。ちなみに弊社では「旅行費用の補助」「飲み会費用の補助」「資格取得支援制度」「無料で整体を受けられる制度」などが代表的な福利厚生となっています。
5.最後に
求人内容の良し悪しは、絶対的に測られるというよりは、相対的に比較されます。競合するクリニックや病院がどのような条件で求人を出しているかのチェックは必須です。また、求人内容についてどの部分を重視するかは、求職者によっても様々です。給与に重きを置く人、早く帰れることを重視する人、人間関係を気にする人など。
給与や休日数などで他院に勝てなくても、クリニックの人間関係の良さはどこにも負けない場合などは、その部分を徹底的にアピールすることで、応募につながる可能性は高まります。給与も休日数も大事ですが、それが全てではありません。自院の強みを理解し、少しでも求職者に選ばれる採用戦略を練り上げていきたいですね。
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