年収の壁・支援強化パッケージが公表されました!
1.はじめに
更生労働省は令和5年9月27日、年収の壁の対応策として「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表し、同年10月から実施されることとなりました。パート・アルバイトで働く方が106万円・130万円のいわゆる「年収の壁」を理由に働く時間が制限されている就労者にとって、年収の壁・支援パッケージが安心して働ける環境づくりを後押しするための制度となっているのか、解説していきます。
2.「年収の壁」とは?
年収の壁とは、税金や社会保険料がかからないように、就業調整をして年収を抑えようとするときの金額のボーダーラインとなります。
年収の壁には、税制上の壁と社会保険上の壁の2週類がありイメージとしては以下の基準となります。
会社員・公務員の配偶者で扶養され保険料負担がない「第3号被保険者」のうち約4割が就労しており、その中には一定以上の収入となった場合の社会保険料負担等による手取り収入の減少を理由として、就業調整をしている者が一定程度存在(回答数の21.8%)することがわかりました。その中でも特に社会保険料発生の壁(106万円の壁・130万円の壁)を理由としている回答が78.7%と圧倒的で、働き方改革を支援する制度が早急に求められていました。
※更生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」出典
3.年収の壁・支援強化パッケージとは?
人手不足への対応が急務となる中で、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するための対応策として支援強化パッケージが実施されることになりました。主な支援は「106万円の壁への対応」「130万円の壁への対応」「配偶者手当への対応」の3本立てとなっています。
「106万円の壁」への対応
①キャリアアップ助成金
被用者保険の新適用時に労働者の収入を増加させる取組をした事業主に労働者1人につき最大50万円を支援
②社会保険適用促進適用
保険料負担を軽減するため、「社会保険適用促進手当」を支給した場合は、被保険者の標準報酬月額の算定から同手当を控除
「130万円の壁」への対応
③被扶養者認定の円滑化
残業等による一時的な増収でも事業主の証明で被扶養者認定が可能に
※あくまでも「一時的な事情」として認定を行うことから、同一の者について原則連続2回までを上限とします。
配偶者手当への対応
④企業の配偶者手当の見直しの推進
配偶者手当の見直しの手順等を示した資料等を公表
4.まとめ
年収の壁・支援強化パッケージは、年収の壁を意識して働いている労働者・少子高齢化の進行によって人手不足が深刻化して労働力の確保が急務となっている事業主の両方にメリットをもたらす新しい制度です。2025年に予定されている次期年金制度の改定までの一時的な経過措置ではありますが、今後誰もが「年収の壁」を意識せずに働ける環境が実現されるか、今後の展開が注目されます。
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