経理担当者必見!年末調整でよくある間違い
1.はじめに
年末調整とは毎月の給与から控除している「概算の源泉所得税」を、正しい金額を算出して過不足を精算する業務を年末調整といいます。
年末調整での計算を行うことによって、本来納めるべき所得税が給与から天引きされた所得税が多ければ差額が還付され、少なければ追加徴収となります。
2.実務での誤りが多い点について
①収入と所得の違い
年末調整ではよく「所得」という言葉が出てきます。
給与所得者の「収入」は社会保険や源泉所得税を控除される前の金額で、給与明細書などで「総支給額」の部分になります。
これに対して「所得」とは、上記の収入から必要経費とみなされる「給与所得控除」を差し引いたもののことです。
②扶養親族の重複
配偶者が勤務先での年末調整で扶養控除等申告書に記入された扶養親族は、従業員本人では扶養親族とすることが出来ません。
また、16歳以上の扶養親族(学生)の場合でも、アルバイトをされている場合は、所得が38万以下でないと扶養親族に該当しません。
この場合、所得が48万以下となるには、収入が103万以下(103万―給与所得控除55万)である必要があります。
扶養控除等申告書には『所得の見込み』を記載するようになっていますが、ここに収入を記載される間違いがよくあります。
参照:給与所得控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
③前職の源泉徴収票
年の途中で現在の職場に入社された方は、前職の退職までの源泉徴収票を提出する必要があります。「提出しなくても分からないでしょ」と言われる方もいますが、退職した会社も退職までに支給した給与の源泉徴収票を市町村へ提出するため、所得漏れを指摘されます。
紛失した場合は前職の会社で再発行してもらいましょう。
④医療費や寄附金について
医療費で所得控除(医療費控除)やふるさと納税などの寄付金控除を受けられるのは確定申告のため、年末調整では控除することが出来ません。
また、住宅借入金等特別控除を受けられるのも2年目からで、1年目(取得した年)は確定申告が必要です。
2年目からは年末調整で控除を受けることが出来ますので、1年目の確定申告後に税務署から送られてくる「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先へ提出しましょう。
⑤生命保険等の控除証明書の提出漏れ
10月下旬頃より加入している保険会社から郵送にて控除証明書が送られてきます。
この案内に1年間に支払った保険金額が記載されているため、提出がないと年末調整で控除を受けることが出来ません。
紛失した場合は再発行の手続きをすることになりますが、保険会社によっては再発行までに時間を要することがあります。
3.最後に
会社によって年末調整を行う時期は違いますが、おおむね11月下旬から資料の回収を行い、翌年1月中旬まで行われていることが多いです。
資料の提出が遅くなったり不足があったりすると、全員の計算を確定させるのも遅れることになります。
直前で慌てることのないよう、余裕を持って行いましょう。
なお、年末調整でよくある問合せや誤りやすい事項が国税庁のホームページにも記載されています。
▼国税庁HP 令和5年分 年末調整Q&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2022/qa.htm
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