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2024/08/27

最低賃金引上げに対する助成金や税制の活用

1.はじめに

この時期になると最低賃金改定の情報が出てきますが、国からは令和6年は50円の引上げを目安とする旨が示され過去最高額の上げ幅となっております。
適用時期は10月1日からで、私たちが拠点としている九州北部ですと、福岡県991円、佐賀県956円、長崎県948円と見込まれています。正確な金額は各県の労働局から確認いただく必要がございます。
賃金改定については経営者としては頭を悩ませる要因のひとつとなりますが、デメリットばかりではありません。本日は、賃金改定によるメリットをご紹介させていただきたいと思います。

2.助成金を活用しましょう

助成金の種類については多岐にわたりますが、賃上げ促進等のために中小企業省力化投資補助金や中堅・中小企業の成長投資補助金、業務改善助成金等々、賃上げを絡めた多くの助成金がございます。
それぞれの助成金については割愛いたしますが、政府の「物価高を上回る所得増へ」という方針のもと、賃上げをした際のバックアップを強化しているようです。
尚、助成金の活用については賃上げを行う前に、社会保険労務士等へ相談することにより、対象となる助成金や手続きなどを確認した方がよいでしょう。

3.税制を活用して納税を抑える

賃金改定とセットで活用できる税制の一つに賃上げ促進税制がございます。こちらをご紹介させていただきます。
前期の賃金額と比較し、上げ幅が大きければその上げ幅に応じて税額控除を受けることが出来ます。

対象となる事業者

①青色申告事業者であること
②資本金または出資金の額が1億円以下の法人
③資本または出資を有しない法人の内、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
④常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
⑤中小企業等協同組合や出資組合の商工組合など

適用要件については、全雇用者の給与等支給額が前年度比+1.5%以上増加であり、その税額控除率が15%となります。
※大企業・中堅企業は割愛、中小企業のみ記載いたします。詳しくはこちらをご確認ください。
また税額控除率の上乗せ要件もあり、上記+1.5%の増加率が2.5%で税額控除率が30%、5%で税額控除率が40%、加えて「くるみん」または「えるぼし」の二段階目以上で税額控除率が5%上乗せと、最大で45%の税額控除率となります。
尚、令和6年度の税制改正で控除しきれなかった税額の5年間の繰越しも可能となっております。

4.従業員のモチベーションの確保と定着率

賃金改定を行うことで、自社で働く従業員のモチベーションの向上と定着率についても期待が持てるでしょう。経営者としては費用の増加に繋がりますが、現場で実務を担っている従業員が今後も末永く会社へ勤めてくれる点や人材流出の減少にも期待をもつことができ、今後の会社の財産となり得ることと思います。

5.まとめ

今回は賃金改定による助成金の活用、税制の活用、人材流出の防止等を簡単ではありますが、ご案内させていただきました。
賃金は一度上げると下げることはできない性質をもった経費のひとつですが、ネガティヴな方へ考えが進んでしまいがちですが、助成金や税制、人材への投資、会社の存続を考えていくとデメリットだけではございませんので、活用できるものは柔軟にご対応いただければと思います。


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