個人の事業用資産の贈与税の納税猶予
1.はじめに
個人の事業用資産の贈与税の納税猶予とは、特定事業用資産を贈与により取得した場合には、一定の要件をもとにその年分の贈与税のうち特例受贈事業用資産の価額に対応する部分の贈与税について、納税が猶予されるというものです。本日は、その適用要件や計算方法についてお伝えいたします。
2.適用要件
適用要件は以下のとおりです。
贈与者
特定事業用資産を有していた個人
特例事業受贈者
・贈与の日において18歳以上であること
・経済産業大臣(一定の場合には、都道府県知事)の認定を受けていること
・贈与の日まで引き続き3年以上、その特定事業用資産に係る事業に従事していたこと
・申告期限まで引き続きその特定事業用資産に係る事業に従事していたこと
・申告期限まで引き続きその特定事業用資産の全てを有し、かつ、自己の事業の用に供していること
・申告期限において、その特定事業用資産に係る事業について青色申告の承認を受けていること
・その他一定の要件
特定事業用資産
贈与者の事業の用に供されていた次に掲げる資産で、青色申告書に添付している貸借対照表に計上されているもの
・宅地等は面積が400㎡以下の部分
・建物は床面積が800㎡以下の部分
・地方税法に規定されている償却資産や事業用の自動車
3.計算方法
計算としては、以下のとおりとなります。
暦年課税の場合
①(特定事業用資産の価額+その他の財産の価額-110万円)✕税率
②(特定事業用資産の価額-110万円)✕税率
③①-②=納付すべき贈与税額
相続時精算課税の場合
①(特定事業用資産の価額+その他の財産の価額-110万円-特別控除額)✕20%
②(特定事業用資産の価額-110万円-特別控除額)✕20%
③①-②=納付すべき贈与税額
4.注意点
この制度を実際に適用しようする場合には、申告要件や継続届出書の提出が必要となってきますので、早い段階の準備と細かい要件の確認が必要となりますので、ご注意ください。また、個人の事業用資産の相続税の納税猶予というものがありますので、合わせてご検討されてください。
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