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2025/01/06

代表取締役等の住所非表示措置がスタート

1.はじめに

日本の商業登記制度は長年にわたり、法人の代表取締役や取締役の住所を登記簿に記載し、その情報を公開する仕組みを採用してきました。特に、登記情報提供サービスがオンラインで利用可能となった現在では、代表者の住所情報が不正利用されるリスクが高まり、登記制度の見直しが求められています。代表取締役等住所非表示措置の概要とその意義、メリットや課題について検討します。

2.住所非表示措置の概要

代表取締役等住所非表示措置は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所を登記事項証明書及び登記情報提供サービス上の一部非表示とする制度です。この措置により、個人情報の保護が強化されます。

代表取締役等住所非表示措置による住所表示の変化例

・措置前
 佐賀県伊万里市二里町大里乙〇〇〇番地〇
 代表取締役  〇〇〇〇
・措置後
 佐賀県伊万里市
 代表取締役  〇〇〇〇

3.制度導入の背景

プライバシー侵害のリスク
代表取締役等の住所が公表されることにより、以下のリスクが指摘されています:

犯罪被害の増加:詐欺や嫌悪がらせの標的にされる可能性。
家庭への影響:特に中小企業の経営者は自宅住所を登録する場合が多く、家族を巻き込む被害の可能性があります。
情報流出の拡大:オンラインで誰でも簡単に住所情報を取得可能となり、リスクが社会全体に拡大。

これらの背景を受け、プライバシー保護のために非表示措置が導入されました。

4.制度のメリット

個人情報の保護
住所非表示措置により、個人情報が直接公開される機会が減少し、個人情報の漏洩リスクが軽減されます。これにより代表取締役等やその家族がストーカーや詐欺被害から保護される効果が期待されます。
精神的な安心感
住所情報が公にされることによる不安や負担が軽減され、特に中小企業では、代表取締役の住所が自宅である場合が多く、個人の生活を守るための措置として有効であると思われます。

5.課題と注意点

透明性と信用性の課題
制度導入に伴い、代表取締役等住所非表示措置が講じられると登記事項証明書等により代表取締役の住所を証明することができず、不動産取引先や金融機関との融資取引において、本人確認書類が増えたり、企業の信用低下などの一定の支障が生じる可能性もあるとの指摘もあります。

6.まとめ

課題は残りますが、代表取締役等住所非表示は、情報化社会におけるプライバシー保護の強化を目的とした制度であり、個人情報の保護と企業活動の健全性を両立する商業登記制度の新たな方向性を示していると言えるのではないでしょうか。


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