医療法人は、倒産防止企業共済(セーフティーネット共済)を掛けることができるのでしょうか?
Contents
1, はじめに
そもそも倒産防止企業共済(セーフティーネット)とはどういった制度かといいますと、
取引先企業が倒産した場合、
積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられる中小企業倒産防止共済法(昭和52年法律第84号)に基づいた共済制度です。
<特徴>
全額経費になる
40ヶ月以上掛け続けると解約したときに全額戻ってくる
2, 倒産防止企業共済(セーフティーネット)の加入条件とは
ところで、表題の医療法人では掛けれないかということですが、加入資格にいろいろな条件が書いてあるのですが、医療法人に関しては、わかりやすく書いてあります。
3, なぜ医療法人は倒産防止共済(セーフティーネット)に加入できない?
それでは、なぜ医療法人は加入対象にならないのかという説明をしたいと思います。
簡単に言うと「利益を追求する団体ではない」からです。
医療法人は公益性の高い団体で、かつ、利益の分配を禁止しています。
一般に営利法人とは、株式会社のように株主(構成員)への利益分配を目的とした法人を言います。より多くの利益分配を行うために商売で利益を稼ぎ出す必要があります。
一方、医療法人は医療法54条に「医療法人は、剰余金の分配をしてはならない」とあるように利益の分配を禁止していますので、利益を追求する必要はありません。
余談ですが、配当ではなくても、事実上の利益の分配とみなされる行為として、次のような事例は配当類似行為として適切ではないとされています。
近隣の土地建物の賃借料と比較して、著しく高額な賃借料の設定
病院等の収入等に応じた定率賃借料の設定
役員への不当な利益の供与
個人又は、他の法人への寄付
などです。
医療法7条6項では、「営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとするものに対しては、許可を与えないことができる」とされています。
以上により公益性の高い団体が利益を留保、つまり運営資金を溜め込まず、過度の節税を行うことは公益性に反していると言えるでしょう。
4, 最後に
また、医療法人の取引先は個人と思われがちですが、割合でいうと国です。保険で私達が数割を払って、国がそれ以上を代わりに払っています。つまり、貸し倒れることはゼロに近いとも言えます。
以上の理由より医療法人は中小企業倒産防止企業共済を掛けることができません。
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