院内物販等に関する消費税価格の表示はどうすればよいですか?
Contents
1, はじめに
医業・歯科医業の場合、社会保険診療収入については消費税が非課税となっておりますが、自費診療や物販収入については原則通り消費税が課税されます。
消費税が課税される取引については、例えば自費診療のメニュー表であったり、物販コーナーの値札などに料金を記載されていると思いますが、実は、このメニュー表や値札の料金の表示については、税法上のルールが規定されています。
2, 原則は税込価格を表示する「総額表示」
消費税法では
「事業者は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。」
と規定されており、税込価格を表示する「総額表示」が原則となりますが、医療機関が患者に対して行う自費診療や物販等はこちらに該当することになるため、「総額表示」が必要となります。
具体的な表示の仕方ですが、必ず税込価格のみを表示しなければならないわけではありません。
税込価格が表示さえされていれば良いので、合わせて消費税額等を表示しても良いですし、別途税抜価格を表示しても良いこととなっています。
国税庁のサイトには下記のような表示であれば「総額表示」に該当する旨の例示ありますのでご紹介しておきます。
本体価格10,000円、消費税1,000円の商品を表示する場合
・11,000円
・11,000円(税込)
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(うち消費税額等1,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
■ 国税庁・NO.6902「総額表示の義務付け」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
3, 現在(令和3年3月31日まで)は特例が認められている
原則は上述の通りとなりますが、現在(令和3年3月31日まで)は特例が認められています。
消費税が5%から8%、10%と増税された際に、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、期間を限定して例外的に税抜価格を表示することが認められました。(消費税転嫁対策特別措置法)
この特例は令和3年3月31日までを期限としていますが、令和3年度の税制改正大綱には延長が盛り込まれませんでした。
よって、この特例は令和3年3月31日をもって終了することとなります。
4, 令和3年4月1日からは「総額表示」が必須となる
価格の表示の特例が延長されなかったことにより、自動的に原則的取り扱いに戻ることとなります。
令和3年4月1日以降は税込価格を表示する「総額表示」のみが税法上認められている価格の表示方法となりますので、現在自費メニューの作成や物販コーナーの一新などを検討されている先生がいらっしゃいましたら、予め税込価格で作成することをおすすめします。
5, 最後に
上記の点にご留意のうえ、徐々に値札の張替え作業等準備していく必要がございますのでご注意下さい。
- 病院・クリニックの方へ
- 歯科の方へ
- 新規開業をお考えの方へ
- 医療法人設立をお考えへ
- 事業承継・相続・売却をお考えの方へ
グループのサービスご紹介