医療法人の死亡退職金と弔慰金について
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1.はじめに
個人事業から法人を設立した際のメリットの一つに役員の退職金があります。
税務上、役員退職金は役員の勤続期間、退職の事情等によって適正金額を判定していきますが、不相当に高額な部分の金額については損金に算入されません。
実務上適正額を計算するのに使われるものは下記の式です。
最終報酬月額✕勤続年数✕功績倍率
功績倍率方式と呼ばれ、絶対に税務調査等で指摘されないということではありませんが、目安として使われております。
退職金は下記の金額が非課税となります。
・勤続年数が20年以下の場合
40万円✕勤続年数
・勤続年数が20年超の場合
800万円+【70万円✕(勤続年数-20年)】
上記を超えた金額を更に1/2したものに課税されるため、大変優遇されております。
2.死亡退職金について
前段のように退職金は優遇されていたが、先生に万が一何かしらあった場合は通常の退職金ではなく死亡退職金を支給することができます。
死亡退職金とは役員が死亡したことにより、遺族へ支給するものです。死亡退職金はみなし相続財産となり相続税の課税対象になります。死亡退職金にも非課税額があり計算式は下記のようになります。
500万円✕法定相続人の数
法定相続人とは民法で定められているなくなった人財産を相続する人です。
配偶者と子供が2人の4人家族だった場合は法定相続人が3人となります。
また、役員が死亡退職した場合は死亡退職金と別に弔慰金も支給することができます。
弔慰金についても非課税になる金額があります。
・業務上での死亡の場合
死亡当時の給与の3年分
・業務上以外での死亡の場合
死亡当時の給与の6ヶ月分
なお、弔慰金で支払をした場合でも非課税とされる限度額を超える部分は死亡退職金としてみなし相続財産になるため検討が必要になります。
3.最後に
法人設立後に万が一あった場合の死亡退職金や弔慰金の支払があれば相続税の納税資金にもなりますので、非課税枠について解説しました。
いざという時に備え、いくら死亡退職金や弔慰金がもらえるのか試算し、足りない部分を保険で補いながらリスクを回避していただければと思います。
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