マイナンバーカードの保険証利用について解説します
Contents
1.はじめに
マイナンバーカードを保険証利用できるオンライン資格確認等システムが、10月20日から本格運用されています。骨太方針2019においては今年の3月にスタートする予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるシステム改修の遅れや世界的な半導体不足によるパソコン調達遅れ、また、プレ運用でのシステムエラーの発生等で、半年間の延期を余儀なくされていました。
2.オンライン資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)とは?
918億円の予算をもって創設されたこのオンライン資格確認等システム。
このシステムの導入による狙いは、大きく2つあります。
①医療機関・薬局の窓口で、患者の方の直近の資格情報等(加入している医療保険や自己負担限度額等)が確認できるようになり、期限切れの保険証による受診で発生する過誤請求や手入力による手間等の事務コストが削減できます。
②また、マイナンバーカードを用いた本人確認を行うことにより、医療機関や薬局において特定検診などの情報や薬剤情報を閲覧できるようになり、より良い医療を受けられる環境になります。
3.オンライン資格確認のメリット
メリットとして掲げているのは、以下の通りです。
資格過誤によるレセプト返戻作業減少
オンライン資格確認を導入すれば、患者の保険資格がその場で確認できるようになるため、資格過誤(保険証の情報の誤り)によるレセプト返戻が減り、窓口業務が削減されます。
保険証の入力手間削減
受付での作業としては、マイナンバーカードのICチップ読み込みか健康保険証の情報を入力する必要があります。マイナンバーカードの認証方法には、顔認証付きカードリーダーか目視での顔認証の方法があります。
今までは受付で健康保険証を受け取り、保険証記号番号、氏名、生年月日、住所などを医療機関システムに入力する必要がありました。オンライン資格確認を導入いただければ、マイナンバーカードでは最新の保険資格を自動的に医療機関に取り込むことができます。保険証でも、最小限の入力は必要ですが、有効であれば同様に資格情報を取り込むこともできます。
来院前に事前確認できる一括照会
一括照会では、事前に予約されている患者などの保険資格が有効か、保険情報が変わっていないかを把握することができます。なお、確認した保険資格が資格喪失などにより無効な場合、受付時に資格確認を行う必要があります。
薬剤情報・特定健診等情報の閲覧等
オンライン資格確認を導入すれば、患者の薬剤情報・特定検診等情報を閲覧することができます。患者の意思をマイナンバーカードで確認した上で、有資格者等が閲覧します。
電子版お薬手帳との連携などができる
これまでは、医療機関・薬局ごとに発行される調剤明細書等に記載されている薬剤情報を手入力や二次元バーコードの読み取り等で電子版お薬手帳に蓄積していました。これからは、これまでの調剤明細書等の情報に加えて、マイナポータルを介し、レセプト情報に基づいた薬剤情報を以下津で電子版お薬手帳に取り込むことができるようになります。
4.導入の流れ
オンライン資格確認の利用に向けた準備作業についてご説明します。
①顔認証付きカードリーダー申し込み
②システムベンダーへ発注
③導入・運用準備
《運用開始》
④補助金申請
5.オンライン資格確認の導入施設はどれくらい?
社会保障審議会の9月22日資料によりますと、オンライン資格確認の導入予定施設数(申請が会った数)として、228,912施設中128,794施設(56.3%)となっています。病院は80%弱に対して、医科・歯科の診療所で50%にも満たない状態です。その中で既に準備完了し運用開始した施設は5.6%にとどまっています。マイナンバーカードの交付実施済数が人口の37.9%の4,803万人です。健康保険証の利用登録がその10.9%の523万件ですので、そのシステムを利用する人が、システム導入先施設と上手くマッチングできる確率はかなり低い状態です。HPで登録されている医療機関を確認することはできますが、そこまでして受診するかは疑問に思うところです。
令和3年3月31日までに顔認証付カードリーダの申請を行っていれば加速化プランの対象となりますが、4月以降は対象外となり補助率が低くなります。(下部補助率参考)低くはなりますが、導入を検討しているのであれば令和5年3月末までに補助対象事業を完了させ、(設備投資を完了し運用開始)令和5年6月までに補助金交付申請したものまで対象になりますので恩恵は受けられます。
6.最後に
この機会に検討したいところではありますが、上記数字を見ると、慎重に検討する施設も多いと考えます。補助金申請の期限を迎えるギリギリまで様子を見てからの導入でも遅くないかもしれません。
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