クリニックが負担する学資金はどう考える?
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1.はじめに
「新しいスタッフを募集しても応募がなかなかない…」と悩まれているクリニックも多いかと思います。
有資格者を雇用するために、専門学生等に卒業後就職をしていただく約束で資金援助したり、既存スタッフに業務で必要な技術・資格を取ってもらうために専門学校等へ行ってもらったりすることを検討されたこともあるのではないでしょうか。
今回はその際の学資金の課税関係について紹介いたします。
2.学資金は経費になるのか
結論からいうと授業料等の学資金については経費になります。
ただし、給与になるか福利厚生費や研修費になるかで取り扱いが変わってきます。
給与扱いになった場合は、源泉所得税を徴収しなければならないため、クリニック側では源泉徴収義務が発生し、援助をもらう側は所得となります。
一方給与扱いにならなかった場合は、クリニック側は全額経費になり、援助をもらう側も非課税となります。
3.給与扱いされないためには
どのように判断するかによりますが、所得税基本通達(9―15)で、「使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員または使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術もしくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくてもよい」となっております。
判定の主なポイントは3つです。
①通常の給与に加算して支給する費用であること
例えば給与を一月10万円支払うスタッフへ学資金5万円を支払う場合に、15万円支払う場合は大丈夫ですが、学資金分を減額し、給与5万円、学資金5万円と支払いをした場合は要件を満せません。
②役員や使用人の親族など一定の者の学資に充てるものでないこと
先生やスタッフと特別な関係がある者への学資金は対象外になります。
③クリニックの業務上必要なもの
スタッフが必要性を感じて生じたものは給与扱いになります。あくまでクリニックが業務上必要と判断したものに限ります。
上記ポイントを満たした場合は非課税となる可能性が高いです。
4.最後に
非課税になるかの判定は法人や個人でも変わりますので、前段に当てはまった場合でも一度税理士等へ確認をお願いいたします。
学資金・奨学金を経費とし、クリニックに必要な技術・資格を持った人材確保へつなげられるようご検討してみてはいかがでしょうか。
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