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2022/03/08

医療機関も知っておきたい「消費税の納税義務」

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1.はじめに

「医療機関に消費税は関係ない」、と思われている先生も多いかと存じます。実際、保険診療中心の医療機関の場合には原則として消費税の納税義務がないため、消費税の納税をしたことがないという医療機関も少なくありません。


2.消費税の納税義務

消費税の納税義務は、原則として、基準期間(通常は2期前)の「課税売上」が1000万円超の場合に生じます。課税売上となるのは医療機関の場合いわゆる自費収入等であり、保険診療収入は「非課税売上」なので、「課税売上」の中には含まれません。従って、2期前の自費収入等が1,000万円を超える場合には消費税の納税義務が発生する、とイメージしておけば良いでしょう。
納税義務が生じた場合には「消費税」を納める必要があるのですが、消費税制度の特徴の一つに、「税金を負担する人」(担税者)と「税金を納める義務がある人」(納税義務者)が異なるというものがあります。
消費税の担税者は最終消費者です。最終消費者が物品やサービスを購入する際に、原則として10%の消費税を負担しています。一方、最終消費者に物品やサービスを提供する事業者(納税義務者)は、消費者から預かった消費税から、仕入れや諸経費の際に支払った消費税を控除した差額のみを納付することになっています。従って、原則として「納税義務者」は消費税を負担する必要がなく、消費者から預かった消費税を、代行して納税しているというイメージになります。


3.簡易課税制度

また、基準期間(通常は2期前)の自費収入等の課税売上が5,000万円以下の場合には、消費税の計算の事務負担に配慮し、「簡易課税制度」を選択することができます。簡易課税制度では、支払った消費税を実額ではなく、業種ごとに設定されている「みなし仕入率」を用いて概算計算をします。これによって手続きが楽になるメリットの他、実際の課税仕入額よりも簡易課税制度を選択した方が有利になるケースでは、節税に繋がるというメリットがあります。従ってうまく活用できれば良いのですが、設備投資がある場合など課税仕入れの実額が多い場合には、逆に簡易課税が不利に働くこともあります。簡易課税制度の選択は、その課税期間の前期に提出する必要がありますから、事前のシミュレーションが必要です。


4.最後に

消費税の納税義務の判定についても、今回は基礎的な考え方のみを記載しましたが、実際は細かなルールがあります。非常に複雑なルールになっていますので、必ず新しい期に入る前に、顧問税理士と相談するようにしましょう。



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