持分なし医療法人における交際費等について
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はじめに
平成18年第5次医療法改正により、平成19年4月1日以降は持分の定めのある社団医療法人の新規設立ができなくなりました。
改正前の持分あり医療法人と改正後の持分なし医療法人では、交際費等の損金不算入額について、取り扱いが違いますので注意が必要です。
1.交際費等の損金不算入とは
医療法人が交際費等を支出した場合、会計上は費用として経費処理されます。しかし法人税を計算する際は、原則として交際費等の全額が損金とならない(つまり課税対象となる)制度が設けられています。
これを「交際費等の損金不算入」制度と呼びます。
2.交際費等の損金不算入額の計算(持分あり医療法人)
・平成26年4月1日から平成30年3月31日の間に開始する各事業年度について適用されます。
(1)期末の資本金(出資金)の額が1億円以下である等の法人(注)
損金不算入額は、次のいずれかの金額になります
①飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
②800万円(事業年度が12ケ月の場合)を超える部分の金額
(2)期末の資本金(出資金)の額が1億超である等の法人
飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
(注)資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等は、平成22年4月1日以後に開始する事業年度からは、上記(1)ではなく、(2)に従って計算します。
・多くの持分あり医療法人は出資金の額が1億円以下であり、実務上は上記(1)②により、交際費のうち800万までを損金算入として取り扱っています。
3.交際費等の損金不算入額の計算(持分なし医療法人)
・持分なし医療法人のように資本又は出資を有しない法人の場合には、次の金額を資本金とみなして持分あり医療法人の損金不算入額の計算によります。
{期末総資産簿価-期末総負債簿価-当期利益(又は+当期損失)}×60%
まとめ
持分なし医療法人において内部留保が多くなり、上記の資本金とみなされる金額が1億超になると、交際費等の損金不算入の計算において持分あり医療法人の(2)による計算方法となり、交際費として損金算入できる金額が大幅に減少しますので注意が必要です。
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