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2024/08/05

出資持分あり医療法人で払い戻しをした場合どうなる?

1.はじめに

現在新規で医療法人を設立する場合は出資持分なしの医療法人しか設立することができませんが、平成19年4月以前に設立した医療法人については出資持分ありで設立されている医療法人があります。
今回は持分あり医療法人での持分を払戻しした場合の課税関係について紹介いたします。

2.持分の払戻しについて

出資持分あり医療法人は解散した場合の残余財産は、出資者に帰属するため時価評価し課税されますが、出資持分を有する社員が退職した場合も一部例外を除き、払戻価格を時価評価で算出し払戻しする必要があります。上記課税が発生するのは出資持分ありの医療法人になるため、定款に下記の記述が記載されております。

「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。」及び「本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。」

なお、時価については定められてはいないため、時価純資産法式や類似業種比準価格方式、収益還元方式などをもとに算出し、払戻価格について社員総会を行って、実際に払戻を実行するようになります。

3.払戻を行った場合の課税について

社員に対する払戻を行う場合は一般的に金銭で支払いを行うことが多いです。その場合医療法人が社員に対して払戻を行う取引については、資本等取引に該当するため、医療法人については、課税関係が発生しません。一方、個人については出資時の金額より払戻価格がおおければ、みなし配当所得が発生します。みなし配当所得は、みなし配当に該当する部分の金額に約20%の税金が課税されます。医療法人自体には課税はありませんが、源泉所得税の徴収義務者であるため、上記20%の税金を払戻価格より徴収し翌月の10日までに納付する必要があります。

また、稀にはなりますが、払戻しを現物で行うことがあります。その場合は社員総会の決議のもと不動産などの現物を払戻ししますが、その際の不動産については不動産鑑定評価などに基づく時価評価になるため注意が必要です。
現物で払戻を行う場合は不動産の簿価と時価に差額がでた場合は、医療法人に課税関係が発生します。個人についても現物で払戻しを行った場合は金銭同様の課税が発生しますので、源泉所得税の徴収と納付を忘れないように注意が必要です。

4.終わりに

今後、退職にともない社員資格を喪失する方もでてくる可能性があります。その場合には時価評価での払戻になるので、事前に準備が必要となります。自分の医療法人が持分あり医療法人かどうかの確認と出資持分を有する社員について一度ご確認いただければ幸いです。


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