開業資金の借り入れのポイント 利率or返済期間
1.はじめに
開業準備の中で最初のハードルとなる開業資金の借り入れですが、「利率(金利)」と「返済期間」どちらが重要かと問われると多くの場合、利率を気にされる場合が多いです。当然、利率は低いことに越したことはありません。しかし、開業時においては返済期間の方が重要です。
2.具体例の比較
例えば、設備資金として9,000万円を開業時に借りることを考えてみましょう。
①返済期間20年、利率は1.5%
②返済期間15年、利率は1%
利率を重視する場合は、当然②を選択します。しかし、開業時に限っては①の方が安心な医院経営に繋がることがあります。では、なぜ①の方が安心なのかを説明して参ります。
①の場合
1年間に支払う元金の返済額 450万円
1年間に支払う利息 約132万円
②の場合
1年間に支払う元金の返済額 600万円
1年間に支払う利息 約87万円
①と②を比べた時、当然利息の支払額は①の方が②より多く、その額は45万円です。一見すると無駄な金利を支払っているように見えます。しかし、元金を比べてみると②の方が①よりも返済額は150万少なくなります。元金と利息の合計では①の方が②よりも支払額は105万円少ないのです。これが何を意味しているかというと、①の方が②よりも105万円多く、手元にお金を残しておくことができるということです。
開業時に多くの自己資金を保有しており、運転資金が潤沢にあるのであれば、利率を重視しても良いでしょう。しかし、想定以下の患者数であった場合、収支が安定するまで想定よりも長い時間がかかってしまいます。その間、手元のお金は減少していきます。このお金の減少は何よりも医院経営を考える上で先生のストレスとなります。
3.据え置き期間は長い方がいいの?
上記、具体例ではあえて据え置き期間という条件を除外しましたが、開業資金の借り入れの場合、据え置き期間を設定してもらえます。据え置き期間が仮に1年だとすると、その1年間に関しては元金返済を待ってもらえるのです。
上記①及び②で据置期間が1年だったとすると、①の場合は450万、②の場合は600万の元金返済を1年間はしなくても良いということです。元金返済はせず、利息だけを支払うこととなるため、より多くのお金を手元に残すことができます。もちろん1年間は元金が全く減らないので支払う利息は、「据置期間なし」よりも「据置期間あり」の方が多くはなります。利息の支払いは多くても、より多くのお金を手元に残すことができ、安心した医院経営ができるのであれば、据え置き期間は長い方が良いと言えるでしょう。
4.最後に
開業準備をどれだけ万全に行ったとしても思った通りの医院経営ができるとは限りません。不測の事態に備え、できる限り多くのお金を手元に残せる方を選択した方が安心な医院経営に繋がることでしょう。開業時の借り入れえに関しては、「利率」だけでなく、「返済期間」、「据置期間」も含めて検討することをお勧めします。
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