相続対策のキホンである「遺言」の作成
Contents
1, はじめに
相続対策にはいろいろな方法がありますが、今回はその基本である「遺言」の作成に関してご案内致します。
ご高齢の患者様などからもご相談を受けることがあると思いますので、先生ご自身の遺言の準備のご検討も含めて、簡単に要点をおさえてもらえればと思います。
2, いつ作成すべきか?
遺言の作成には判断能力が求められます。
もし作成当時、認知症のために判断能力が欠けていたとなると、遺言の内容が認められない可能性があります。作成を決めたらなるべく早く準備する必要があります。
また、遺言は後で書き直ことができますし、一番新しい内容が法的に認められます。遺言を残すと決めたら、一日でも早く準備されることをおすすめします。
3, どうやって作成するのか?
遺言には大きく分けて2つの方法があります。
①自分で書く「自筆証書遺言」
②公証役場で作成する「公正証書遺言」
「自筆証書遺言」は作成が容易ですが、内容の法的な不備や、銀行で受け付けてもらえないという可能性があります。
「公正証書遺言」では、本人の署名以外はすべて公証役場で作成してもらえますし、本人の意思確認や法的な内容の確認があり、しっかりとした内容での作成が可能です。
死期が迫っているなど、緊急で遺言を作成する場合を除いて公証役場での作成が望ましいです。
ただし「公正証書遺言」作成においては、公証人との面談が必要です。公証役場から病院等への出張面談も依頼できますが、オンラインでの面談は不可です。コロナ禍で面会が制限されている場合は作成ができない場合があります。
また判断能力の確認としては、以下のような質問がされます。
「生年月日を教えてください。」
「ご家族は何人いますか?皆様のお名前を教えてください。」
「長男の○○さんにすべての財産を相続されるとありますが、その理由をお聞かせください」等
本人確認だけでなく、内容に関してもその理由を聞かれてたりします。
これらの質問に回答できない場合は、遺言の作成能力がないとみなされて、作成が中止になることがあります。
繰り返しになりますが、遺言作成は早めの準備が必要です。
4, ご家族に遺言作成を相談・報告するべきか?
こちらの答えは、「場合によります」。
<事前に伝える、相談する場合>
事前に相談を受けた方は自身に有利な内容で作成するよう促す可能性があります。また相談を受けていない家族が事後的に遺言作成の事実を知ると、不公平感を抱き、後で相続争いの可能性を生むことになります。相続人全員が近い場所に住まれていて、連絡を頻繁に取り合う関係性があれば、話し合って良いかもしれません。
<事前に伝えない、相談しない場合>
事前に伝えない場合は、遺言の中で相続分の指定の理由や経緯を説明し、残されるご家族へ思いが伝わるようにされることをお勧めいたします。
5, どうやって保管すればよいか?
紛失のリスクを避けるために「自筆証書遺言」であれば、法務局での預かりサービスを利用されてください。「公正証書遺言」は本人用とは別に公証役場で保管されるので安心です。
過去記事
法務局で遺言書の保管ができるようになりました!
https://www.upp-medical.com/column/1783/
6, 最後に
ご不明な点がありましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。
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