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2021/11/19

「財産債務調書制度」ってどんなもの?

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1.はじめに

平成27年度税制改正において、所得税・相続税の申告の適正性を確保する観点から、財産及び債務の明細書を見直し、一定の基準を満たす方に対し、その保有する財産及び債務に係る調書の提出を求める制度が平成28年1月から施行されています。


2.制度の概要

◎財産債務調書を提出しなければならない方
所得税等の確定申告書を提出しなければならない方で、その年分の退職所得を除く各所得金額合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(有価証券や出資金等)を有する方は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を提出しなければなりません。

◎財産の価額
財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています。

◎財産債務調書への記載事項
財産調書には、提出者の氏名・住所(又は居所)・マイナンバー(個人番号)に加え、財産の種類、数量、価額、所在及び債務の金額等を記載することとされています。(財産及び債務に関する事項については、「種類別、用途別」(一般用及び事業用)「所在別」に記載する必要があります。)
 
財産及び債務の区分は下記の通りです。
財産⇒土地、建物、山林、現金、預貯金、有価証券、匿名組合契約の出資持分、未決済信用取引等に係る権利、未決済デリバティブ取引に係る権利、貸付金、未収入金(受取手形を含む)、書画骨とう及び美術工芸品、貴金属類、その他の財産など
債務⇒借入金、未払金、その他の債務

◎財産債務調書の提出期限等
その年の翌年の3月15日までに、所得税の納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

◎その他の処置
・「軽減税率」
調書を提出期限内に提出した場合には、その調書に記載がある財産等に対する所得税等又は相続税の申告漏れが生じた場合であっても、その財産等に関する申告漏れに係る部分の過少申告加算税等は5%軽減されます。
・「加重措置」
調書が提出期限内に提出されない場合又は提出期限内に提出された調書に記載すべき財産等の記載がない場合(重要事項の記載が不十分と認められる場合を含む。)若しくは相続国外財産に対する相続税に関し修正申告等があった場合に、その財産等に対する所得税等の申告漏れ(死亡した者に係るものを除きます。)が生じた場合、その財産等に関する申告漏れに係る部分の過少申告加算税等は5%加重されます。


3.最後に

財産債務調書に記載すべき資産の中に、医療法人の出資持分も含まれます。各種所得金額の合計額(退職所得を除く)が2,000万超の方でかつ医療法人の持分が1億円以上ある方は財産債務調書の提出が必要となりますので、お気をつけください。


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