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2022/06/03

全てを生前に決めておく「おひとりさま終活」のリアル

その方との出会い

司法書士法人ハート・トラストの岩永です。
先日、新緑がまぶしい暖かい春の日にその方は、95歳でご主人の元へ旅立たれました。
その方はその日のために20年も前から準備をしておられました。
私が出会ったのは、自分が認知症になったときに備えて「任意後見契約」を結びたいというご相談でした。
『数年前に主人を亡くし子供がいない私はおひとりさま。これから歳をとって、病気になるかもしれないし、認知症になるかもしれない。そんな状況になったときに兄弟や甥姪には頼らず生きていきたい』とおっしゃっていました。
終活,おひとり様


生前に行った手続き

その方とは、万一認知症になったときのための「任意後見契約」だけでなく、任意後見契約が発効するまでの「見守り契約」と身体が不自由になったときのための「任意代理契約」そして亡くなった後の「死後の委任事務契約」、残った財産を誰に渡すかを決めた「公正証書遺言」まで作成されました。

同時に、葬儀社とご自身の「葬儀の契約」、菩提寺との「永代供養契約」まで済まされ『これで安心』とおっしゃって、老人ホームでのおひとりさま生活を楽しんでいらっしゃいました。
そこから十数年の間、「見守り契約」は3ヶ月に一度、近況や健康状態など雑談を交えながらお話をしました。健康によいからとカラオケ教室に通い、年2回の発表会には新曲を披露されていました。
しかし、年齢と共に身体の変化は訪れます。ある日お部屋で転倒し、骨折。そのまま立ち上がれずに痛みと不安の中、数時間助けを呼べずに倒れていたところを施設の職員に見つけられました。非常用の呼び出しボタンは、高い位置にあって、押すことができなかったそうです。
この出来事をきっかけに「任意代理契約」を発効しました。通帳と印鑑を預かり、病院の入院手続きや支払いなど、ご本人の指示に従って各所で手続きをすることができるようになりました。退院後は、介護居室へ移られ常に職員の目が届く生活になりました。

介護居室への引っ越しの際は、生活に必要な物だけを残し、宝石などは生前の形見分けをされました。
それから数年後、かかりつけ医から食事が入らなくなったので点滴で栄養補給をしていることを告げられました。次第に脈も弱くなっているので、その日が近いということでした。親族との面会した翌日、その方は静かに息を引き取られました。
ご自身で契約された葬儀は沢山のお花に囲まれ、静かなご葬儀でした。事前に決めておいたお気に入りの着物を着でご主人との思い出の写真と共に火葬され、その日のうちに菩提寺へお骨を届けました。納骨式は49日が終わってからということになっています。

すべてその方が思い描いたとおりの旅立ちで、私は決められたとおりに執り行っただけ。
主が去った居室は、衣類と生活に必要な雑貨だけ。「私が死んだ後、部屋の中の物は全部捨ててください。」とおっしゃっていた通り、全てをご自身で完結された見事な終活だったと思います。
この後は、施設の費用の精算などが終わった後に、遺言書に従ってご親族へ遺産が引き渡されることになっています。


安心して老後の生活を送るために

この方のように、お元気なうちに仕舞い方を決めておくことで、安心して老後の生活を送ることができます。
任意後見人には親族や友人などもなれますし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも出来ますが、契約書の作成や手続きなどは専門家に依頼する方がスムーズで、希望にかなった契約書ができると思います。
各県の司法書士会には「公益社団法人成年後見リーガルサポート」という成年後見制度や申立手続きに関する相談窓口がありますので、お問い合わせください。

リーガルサポート福岡
リーガルサポートふくおか│公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート福岡支部 (fukuokashihoushoshi.net)



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