ポイントや飛行機のマイルは相続できる?
1.はじめに
最近では、インターネット専業の銀行口座や証券口座、暗号資産(ビットコイン等の仮想通貨)や電子マネーなど、いわゆる「デジタル資産」と呼ばれる財産も多く、把握することも容易ではありません。
そもそも相続の際にデジタル資産の存在に気付かない場合も多く、相続手続きもされないケースが出ているそうです。
被相続人の遺品整理をしていたら、ポイントや航空機のマイルが大量に貯まっていた、ということもあるでしょう。そんな時、ポイントやマイレージは相続財産の対象になるのかということについて本日はお伝えしようと思います。
2.電子マネーは相続できるものが増えている
まず、LINE PayやPayPayなどのQR決済系電子マネーですが、以前は相続を認めていないものがほとんどでした。しかし、相続できない旨の規約が、消費者契約法で禁止されている消費者にとって不利益な契約にあたるのではないかと問題にされたことを受け、相続することができるよう規約を改訂する電子マネーが増えています。
例えば、LINE PayやPayPayは一定の手数料を差し引いた上で、相続人がその残額を引き継ぐことを認めています。そのため、現在では相続できないとしているQR決済系電子マネーがあったとしても、以後は徐々に規約が改訂され、相続を認める流れになっていくと予想されます。
一方で、小売系の電子マネーでは、相続を認めていないケースが少なくありません。
例えば、nanacoでは、その規約により、「会員が死亡した場合には、会員資格は喪失され、一切のnanaco電子マネーサービスを利用できなくなります。この場合、nanacoカード内残高およびセンター預り残高はゼロとなり、また、現金の払戻しも行われません。」とされています。
3.ポイントは相続できるのか?
では、貯めたポイントカードのポイントは相続することができるのでしょうか?
結論からお伝えすると、ポイントは、貯めた本人のみが使用することが想定されており、相続の対象とはならないことが一般的です。
とはいえ、紙のポイントカードで特に記名がないもの等は、実質的に相続人がそのまま利用できてしまうというケースもあるでしょう。
これは厳密に言えば、規約違反となる場合もあります。
ポイントの取り扱いについてまずは利用規約を確認してください。
各ポイントカードの利用規約において、死亡した会員資格の取り扱いについて定められています。利用規約では、死亡時にポイント失効となる場合が多く、その場合原則として、ポイントの譲渡は認められません。
これは民法「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。」(民法第896条)という規定に基づくためです。ポイントは、「当該個人がそのポイントプログラムの会員である」という資格によって受けられるサービスのため、「被相続人の一身に属したもの」に該当します。従って、法律的には相続の対象にはなり得ません。
しかし、あくまでも「法律上」であるため、実際には各社が独自の規約で家族間のポイントの統合や引継ぎを認めている場合もあります。念のため利用規約の家族とのポイント共有について確認してみましょう。
4.相続できるポイントもある
また、例外的に相続が認められているポイントも存在します。その代表的なものは、航空会社のマイレージです。
例えば、ANA(全日本空輸株式会社)やJAL(日本航空株式会社)のホームページには、相続が起きた際の案内も記載されており、亡くなった人の貯めたマイレージポイントを相続人が引き継ぐことができるとされています。
マイレージポイントはかなり高額となることも多いため、亡くなった人がマイレージポイントを持っている場合には、ホームページを確認して漏れなく手続しましょう。
5.まとめ
電子マネーやポイントの規約は改訂されることがあります。
相続ができるかどうか調べる際にインターネットで検索すると、相続の可否をまとめたサイトが出てくることもありますが、規約が改訂される前の情報でまとめられていることもあります。公式以外のサイトを参照する際は、その情報が最新なのかどうか確認しましょう。
相続税の申告をする際は、電子マネーについても漏らしてしまうことのないよう注意し、正しい申告を心掛けましょう。
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