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夜間対応型訪問介護が2029年度末で廃止へ――在宅医療を担う医師が押さえるべき定期巡回サービスへの移行と報酬改定の動向

  • #クリニック経営
  • #訪問看護

Kayoko Sakamoto

税理士法人アップパートナーズ 佐賀伊万里オフィス/シニアマネジャー

1.はじめに

在宅医療や訪問診療に取り組むクリニックにとって、夜間・急変時を支える介護サービスの動向は、診療体制そのものに影響します。8月5日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、夜間対応型訪問介護を2029年度末で廃止し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ円滑に移行する方策が議論されました。本記事では、2027年度改定に直結する議論の要点を整理します。

2.議論の要点と医師にとっての意味

夜間対応型訪問介護(2006年度創設)と定期巡回・随時対応型訪問介護看護(2012年度創設)は、いずれも「定期的な訪問+随時の訪問」で中重度の要介護者の在宅生活を支える点で機能が類似しており、人材確保や報酬体系の複雑化を避けるため、統合の方針が固められました。


2024年度改定では、夜間のみ利用できる低報酬の「夜間対応型区分」が定期巡回サービスに設けられました。しかし厚生労働省の調査では、同区分の利用予定者が「いない」とする事業所が89.2%に上りました。夜間の人員体制や収益減少への不安も強く、現状のままでは利用者が不利益を被りかねません。



定期巡回サービス自体も、都市部ではスタッフ確保、中山間地では利用者確保が課題です。分科会では夜間区分の報酬引き上げやテクノロジー活用に伴う人員配置の柔軟化などの意見が出され、秋以降に具体論へ進みます。

もう一つの論点が、人件費の地域差を反映する介護報酬の「地域区分」です。公務員の地域手当の見直しに伴い単価が下がる地域が出れば、事業所の収益や職員処遇に影響しかねないため、市町村の意向も踏まえ慎重に検討される見通しです。

医師にとっての重要点は三つあります。第一に、夜間・急変時の受け皿が再編されることで、在宅患者の夜間対応体制や訪問看護との連携方法が変わり得ること。第二に、介護事業を併設・運営する場合は、移行や地域区分変更による収益への影響を試算する必要があること。第三に、サービス内容が決まる前の意見募集の機会を活かせることです。

3.おわりに

今回の議論は方向性の整理段階であり、具体的な報酬は今後の第2ラウンドで詰められます。まずは分科会資料と、今秋予定の団体等との意見交換会の動向を継続的に確認してください。そのうえで、地域の介護事業所・ケアマネジャーと夜間対応の現状を共有し、移行後も在宅患者を切れ目なく支える連携体制を早めに見直しておくことをお勧めします。制度の変化を先読みして備えることが、患者さんの安心と医療機関の安定経営の両立につながります。

参考:厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会) 
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698.html

監修者情報

税理士法人アップパートナーズ 佐賀伊万里オフィス/シニアマネジャー

Kayoko Sakamoto

得意分野:一般税務・創業支援。介護業界等幅広い業種の税務を担当。