コラム

column

投稿日
  • 経営全般

不動産を親族間売買する際の注意点

1.はじめに

土地や建物などの不動産を売却する場合に第三者ではなく、親族間で売買することがあります。今回は親族間で売買する際の税制上の注意点について紹介します。

親族間売買における「親族」とは?

「親族間売買」における「親族」は、民法で定義される戸籍上の親族と税務署の捉える親族の範囲にはやや違いがあるといわれますが、税務署は明確な範囲を定めてはいません。 民法上の親族の範囲は、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族となります。 一方、税務署が不動産の親族間売買で確認したいことは、「みなし贈与」が発生しているかどうかです。そのため、親族間売買に関しては、相続人に該当する親族がその範囲と考えらえます。また、不動産の売買に適用される税務上の特例を受けたい場合は、特例の定める親族であるか否かに注意が必要になります。

2.親族間売買で確認したいこと

親族間売買では、一般の不動産売買と比べて以下の項目に注意が必要です。
1. 売却価格 2. 税務上受けられる控除や特例

1.売却価格の注意点

「みなし贈与」で気を付けなければならないのが、「著しく低い金額」での取引ですが、この「著しく低い金額」の明確な規定はありません。 ただ、過去の判例をもとに、「著しく低い金額」の目安とされているのが、時価の80%です。個々の状況にもよりますが、この目安を下回る金額での取引は「みなし贈与」としてみなされる可能性が高く、贈与税の課税対象になります。 親族だからと安い金額で不動産を売買しても問題ないのではないかと考えている人も少なくないかもしれません。 しかし、親族間売買は、相続対策として悪用されることを懸念して、税務署から「みなし贈与」を疑われやすいものです。特に売買金額について細心の注意が必要になります。もし、あまりにも安い金額で売買してしまい、「みなし贈与」と判断されると、高額な贈与税を支払わなければならなくなります。 例えば、父と息子の間で時価3000万円の自宅を1500万円で売買したとします。 時価との取引価格の差は1500万円です。1500万円という金額は時価の約50%で、「著しく低い価格」の一つの目安である時価の80%を下回っています。このケースでは、「みなし贈与」とみなされる可能性が高く、時価との差額である1500万円に贈与税がかかります。 他人同士であっても著しく安い価格での取引となれば、「みなし贈与」と判断されることがありますので、注意は必要です。

2.税務上受けられる控除や特例の注意点

不動産売買時に適用できる税務上の控除や特例が使えない場合がある点には注意が必要です。 売主の場合
•居住用財産を譲渡した場合の3000万円特例控除 •居住用財産を売ったときの軽減税率の特例(10年超所有軽減税率の特例) •特定の居住用財産の買換えの特例(買い換え特例) •特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
買主の場合
•住宅借入金等特例控除(住宅ローン控除) •直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例
不動産の売買では、さまざまな税務上の恩恵があり、特例や控除を受けることができます。 しかし、親族間売買では、特例控除の適用対象外となるケースがあるため注意しなければなりません。 親族間売買でも、例えば親名義の家をその子である娘の配偶者である夫が購入するなどの場合には、売主である親は「居住用財産を譲渡した場合の3000万円特例控除」の適用対象になります。

3.最後に

ここまで不動産の親族間売買についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか? 不動産の親族間売買では、親しい仲がゆえに、価格を著しく安く設定されたり、曖昧な取引内容となったりする可能性が高いので他の取引よりも注意して進めなければなりません。特に税務上の特例控除を利用したい場合は、不動産会社や税理士、税務署などに相談することをおすすめします。