高額な医療機器導入、「購入」と「リース」どちらを選ぶべきか?〜金利上昇局面の財務戦略〜
1.はじめに
MRIやCT、最新の超音波診断装置など、医療機関における設備投資は非常にかんたんに支払える金額ではなく、非常に高額です。導入にあたり、「銀行から融資を受けて購入するか」「リースを活用するか」で悩まれる院長先生は少なくありません。特に現在は金利上昇の動きが本格化しており、この選択が将来のキャッシュフローに与える影響は従来以上に大きくなっています。今回は、金利上昇局面における医療機器導入時の「購入」と「リース」の財務的な違いと、選択のポイントについて解説します。
2.医療機器導入におけるそれぞれの特徴
医療機器の導入方法には、それぞれ財務上のメリットとデメリットが存在します。自院のキャッシュフロー(資金繰り)と今後の投資計画に合わせて最適な手段を選ぶことが重要です。
①借入による購入
最大のメリットは、特別償却や税額控除などの税制優遇措置を自院でフル活用できる点と、総支払額を抑えやすい点です。
借入にあたっては金利タイプの選択が必要になります。「変動金利」を選べば目先の金利負担は低く抑えられますが、将来の市場金利上昇に伴って利息負担が増加するリスクを自院で持つことになります。一方「固定金利」を選べば支払額を確定させられますが、金融機関側も将来の金利上昇を見込んで金利を設定するため、当初から変動金利よりも高い金利が適用されます。また、高額な借入によって金融機関からの「借入枠」を消費してしまう点も考慮が必要です。
②リースを活用した場合
リース最大のメリットは「多額の初期資金が不要で、銀行の借入枠を温存できる」ことです。固定資産税の申告や動産総合保険の加入手続きなどをリース会社が代行してくれるため、事務負担も大幅に軽減できます。
また、リース料は契約期間中一定であるため、将来の金利上昇を気にせず、資金繰りの見通しが立てやすくなります。ただし、この「支払額が固定される」という仕組みの裏側では、リース会社が将来の金利変動リスクを含めてリース料率を算定しています。そのため、リスクを自院で取る借入(特に変動金利での購入)と比較すると、トータルの支払総額は割高になるのが一般的です。
| 導入方法 | 主なメリット | 注意点・デメリット |
|---|---|---|
| 借入(購入) | ・税制優遇を活用できる ・総支払額を抑えやすい |
・金利上昇リスク(変動金利時) ・銀行の借入枠を消費する |
| リース | ・初期資金ゼロ&借入枠の温存 ・支払額固定で金利リスク回避 ・事務手続きの手間軽減 |
・トータルの支払総額が割高になる |
3.どちらを選ぶべきかの判断基準
結論として、どちらが正解かはクリニックの「資金繰りの方針」と「今後の事業展開」によって変わります。
手元資金や借入枠に十分な余裕があり、金利変動の影響を踏まえても設備投資にかかるトータルコストを最小化したい場合は「購入」が適しています。
逆に、数年後にクリニックの改装や分院展開などで別の大型資金が必要になる可能性があり、借入枠を温存しておきたい場合や、多少コストが上がっても将来の支出額を完全に固定させて資金計画の確実性を高めたい場合は「リース」を選択するのが賢明と言えます。
4.おわりに
設備投資はクリニックの経営を左右する大きな決断です。金利動向も踏まえた事前の資金繰りシミュレーションについて、ぜひお近くの専門家にご相談ください。
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