2027年1月始動!18歳未満対象の「こどもNISA」
1. はじめに
お子様の教育資金への備えは、早期から設計しておきたい重要テーマの一つです。そこで注目すべきが、2027年(令和9年)1月1日からスタートする予定の新たな未成年者向けNISA「こどもNISA(正式名称:未成年者特定累積投資勘定)」です。かつての「ジュニアNISA」の不便さが解消され、資産形成の強力な手段へと進化しました。今回は、高所得な理事・ドクター層が実務や税務の視点から押さえておくべきポイントを解説します。
2. 「こどもNISA」の基本構造
こどもNISAは、0歳から17歳(口座を開設する年の1月1日時点で18歳未満)の未成年者を対象とした非課税の積立投資制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資枠 | 年間60万円まで |
| 非課税保有限度額 | 最大600万円(簿価残高方式=購入時の価格で管理され、枠の再利用が可能) |
| 非課税期間 | 無期限 |
| 投資対象 | 長期分散投資に適した一定の「投資信託」に限定 |
最大の特長は、旧制度のジュニアNISAで大きなボトルネックだった「18歳までの払出し制限」が緩和された点です。「その年3月31日において12歳となる年(特定基準年)の4月1日以降」(例:中学進学時の4月以降)であれば、教育費や生活費に充てる目的(入学金、学費、教材費など)に限り、親権者等が引き出せるようになりました。また、引き出して空いた枠は将来の積立に再利用(簿価再利用)できるため、柔軟な資金調整が可能です。
なお、子どもが18歳に達すると、こどもNISA口座は現行NISAのつみたて投資枠へ自動的に移行します。
3. 注視すべき「贈与税」と「引き出しの実務手続き」
高所得な家庭の場合、一般的な案内では見落とされがちな「税務実務」に目を向ける必要があります。
① 他の贈与との合算に注意
親や祖父母が子供の口座へ積立資金を拠出することは、税法上「贈与」として扱われます。こどもNISAの年間投資額は最大60万円のため、単体であれば「暦年贈与の非課税枠(年間110万円)」に収まり、贈与税はかかりません。しかし、他の生前贈与を併用している場合は、すべての贈与が合算されて年間110万円を超えると贈与税の課税対象になるため、家族全体での贈与枠の調整が必要です。
【例】祖父母から現金100万円、親からこどもNISAの投資60万円を同一の年に受贈した場合
・受贈額の合計:100万円 + 60万円 = 160万円
・基礎控除(110万円)を超過する50万円に対して贈与税が課税されます。
② 引き出し時には「厳格な手続き」が求められる
12歳以降に口座から資金を引き出す際は、金融機関に対して「特定課税未成年者口座払出依頼書(引き出し理由や詳細を記載する書類)」などの提出が必要になります。
③ 旧口座からの自動移管はない
すでに「旧ジュニアNISA口座」で運用している資産がある場合でも、別制度として整理されるため、今回の「こどもNISA」口座へ自動的に連携・移行(ロールオーバー)されることはありません。利用には、金融機関での完全新規の手続きが必要となります。
4. 2027年の制度開始に向けて今できること
こどもNISAのスタートに向けてドクターが実践できる対策は、「子供名義の通常の証券口座(未成年口座)」を先行して開設しておくことです。あらかじめ子供名義の口座を作って余剰資金を分けておくことで、親個人の資産やクリニックの経営資金と「教育資金」を明確に区分管理できます。これにより、2027年1月に新制度が始動した際、スムーズに非課税口座の手続きへと移行でき、資産形成のスタートダッシュを切ることが可能です。
効率的な資金運用と適切な税務設計を両立し、ゆとりある未来を整えていきましょう。
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