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2023/01/19

医療法人設立手続きの注意点まとめ

1.はじめに

医療法人設立は、設立認可申請から法人開設のクリニックが診療開始するまでおおよそ半年ほどの期間がかかる手続きです。スムーズに手続きを進めるためには、書類の事前準備が非常に重要です。今回は医療法人設立手続きの注意点についてご紹介したいと思います。


2.医療法人設立手続きの注意点

①設立認可申請

設立認可申請書類を作成する際は、各都道府県との事前打ち合わせが重要です。

①理事、監事に就任できる人の要件を満たしているか

要件を満たしていない人を選任し、認可申請をした場合、再検討が必要になり、認可申請書の修正も必要になります。事前に要件を満たしているかの確認が重要です。

②医療法人名について問題はないか

同一県内に同じ名称の法人がないか、認可を受けることができる法人名か確認が必要です。

③クリニック名は問題ないか

個人事業時は問題とされなかったクリニック名が法人設立時に問題になったケースもあります。

④家賃は適正か

理事長所有の建物を医療法人へ貸し付ける場合の家賃が適正かどうか、査定書を求められるため第3者への査定の依頼が必要です。査定には時間がかかることもあるため早めの依頼が重要です。

⑤不動産(土地・建物)を拠出する場合は、その価額は適正か

理事長所有の土地・建物を医療法人へ拠出する場合、その価額が適正かどうか不動産鑑定士の鑑定を求められます。鑑定には時間がかかるため早めの依頼が重要です。

⑥借入金、リース、ローンの引継ぎを行う場合

借入金、リース、ローンを個人から法人へ引き継ぐ場合は、各債権者より引継ぎに関する承認を事前に受ける必要があります。承認に時間がかかる場合があるため、早期の依頼が重要です。また、借入金の引継ぎ方法によっては、早期返済に伴う違約金が発生する場合があります。金融機関へ事前確認をすることをお勧めします。

⑦決算月の検討

消費税課税事業者となる可能性が高い場合は、設立予定日と決算月の兼ね合い次第で2期目より消費税課税事業者になるかどうかが決まります。決算月の決定は慎重に検討することをお勧めします。



3.法人登記

設立認可が下りると法人設立登記手続きへ移行しますが、通常は司法書士へ登記依頼をすることが多いです。認可が下り次第、登記手続きができるよう司法書士を選任しておいた方がスムーズに登記ができるでしょう。また、設立登記と同時に法人の印鑑登録も行うため、法人印を事前に作成しておくことも重要です。


4.診療所開設許可申請及び診療所開設届の提出

法人の設立登記が終わると次は診療所開設許可申請、開設届の提出に移行します。開設許可申請、開設届の際も様々な書類が必要となるため事前の準備が重要です。


5.診療所の平面図の用意

現行のクリニックの状況と平面図が一致しているかの確認が必要です。開業以降、改装を行った場合は、改装後の平面図が必要です。通常、改装時には変更した旨の書類を保健所へ提出しますが、うっかり提出をしていない場合があります。変更後の図面が手元にない場合は、開設許可申請が遅れる原因にもなりますので、早めの確認が重要です。

①提出予定の免許証(医師、看護師、歯科衛生士等)の確認

女性スタッフの場合、結婚により姓が変わっている場合があります。書き換えには時間がかかるため、結婚しているスタッフに関しては書き換えを行っているか早めに確認しておくことをお勧めします。

②エックス線装置備付届の提出

エックス線装置備付届には専門業者の測定報告書の添付が必要です。測定のスケジュールの調整、書類の完成予定日の確認などを事前に行っておくことをお勧めします。


6.保険医療機関指定申請及び施設基準の届出

診療所開設届の提出が終わると厚生局への保険医療機関指定申請と施設基準の提出に移行します。保険医療機関の指定に関しては事前に厚生局へ相談をすることをお勧めします。

個人から法人へ移行するタイミングで保険診療が切れ目なく行うことができるよう書類の提出期限の確認は十分に行う必要があります。また、施設基準に関しては、提出要件として過去の診療実績や研修の受講履歴が必要な場合があります。法人で届出をする際に要件を満たすことができるのか、できれば法人設立を検討した段階で確認をしておいた方が望ましいです。


7.最後に

以上のように医療法人設立には細心の注意が必要です。書類の提出段階になり、不足資料や書類記載上の不備がないよう関係各所と早期に打ち合わせを行い、書類を作成することをお勧め致します。

なお、今回ご紹介した注意点は、事例の一部に過ぎません。法人設立認可申請から保険医療機関指定申請までの流れは各都道府県の関係部署や厚生局により判断が異なる場合があります。本文内容に伴う責任は負いかねますので、関係各所への事前相談を欠かさぬようお願い致します。



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